キング・サニー・アデ出現以前、
ジュジュ・ミュージックのルーツとなった30~50年代のアフリカン・ポップスのコンピレーション・アルバムです。いや~、ナイジェリアのこんな古い録音が残ってるんですね、すごい。
コロンビアのクンビアとか、ナイジェリアのジュジュとか、北アフリカのアル・アンダルースとか、トリニダード・トバゴの初期カリプソみたいな音楽は、日本にいると聞くのがなかなか大変です。ロックやジャズみたいにレコードがひとつの基準になってる音楽だと聞きやすいんですが、そうでない音楽って、ジャンル自体は有名でも何をどう聴けばいいのか分からずに困ったことになったりして(^^;)。こういうジャンルこそコンピレーション・アルバムの力の見せどころで、見事なコンピレーションを作ってくれると本当に助かります。このCDはROUNDERというアメリカのレーベルが作ったコンピレーションで、キング・サニー・アデが歌った曲の元ネタまで入ってました。
全体としては、
ギター伴奏にメインヴォーカルを据えた少人数コーラスという小歌曲といった感じでした。これに、ヴァイオリンがオブリを入れたり、打楽器が入ったり。打楽器は、後年のキング・サニー・アデのようにアフリカ系の打楽器を使っているとも限らなくて、そのへんにあるものを叩いているように聴こえるものも…いかんせの録音が古くてアナログレコードから起こしたみたいなので、バチバチ言ってよく分からない(^^;)。あと、
マーチングバンドのようなブラスセクションが伴奏になっている曲までありましたが、この辺はイギリスの植民地だったんだなあと感じました。
きわだって聴こえるのはコーラスで、普通に6度でとっていたりして、しかも子供が歌っているように聴こえるものですら、ピッチがメッチャいい!なるほど、アフリカの民族音楽のひとつにコール&レスポンス形式の合唱がありますが、あれとイギリスのフォーク音楽が融合した感じなのかな?これは一朝一夕で出来るようになるとは思えないので、アフリカの民族音楽なりキリスト教会で鍛えられたのではないかと。
第1次世界大戦から第2次世界大戦までの西洋植民地のポピュラー音楽を聴くと、キューバでもコロンビアでもアフリカでもアメリカのブルースでも、僕には似た音楽に聴こえます。キーワードは、奴隷海岸と言われたギニア湾沿岸地域のアフリカ音楽、イギリスのバラッド、そしてスペイン音楽なんじゃないかという気がします。これのブレンド具合で多少の差があるものの、使ってる豆は同じなので似てくるのかも。そんな中、古いジュジュ・ミュージックはコーラスの素晴らしさが際立っていて、音楽性は基本的に明るく平和な感じが特徴に感じました。これを「古いブルーグラスのルーツになった音楽だよ」と言われても、信じてしまいそう。コーラスに関しては、子どもが歌った歌ですら、ビートルズよりもぜんぜんうまいぐらいに素晴らしかった!
音楽はもちろん、このCDは企画自体がすばらしかったです!こういうのって、専門知識がなかったらとうてい作れないですよね。。というわけで、ジュジュのド素人の僕には実にありがたいコンピレーションでした(^^)。
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