
古本屋で見つけた1冊です。
映画「スタンド・バイ・ミー」に猛烈に感動した事があるものだから、見つけた途端に「おっ!」と思って、買ってしまいました。あのめちゃくちゃに良い話をホラー小説の大家が書いている点も興味があったんです。映画も、ある死体をめぐるストーリーだったので、原作って本当はホラーだったんじゃないかと思ってね(^^;)。
「スタンド・バイ・ミー」は、スティーヴン・キングの「恐怖の四季」という春夏秋冬に分かれた四部構成の小説の秋の部分でした。でも、元タイトルは「The Body」となっていたので、この文庫版小説のタイトルは原作ではなくて映画から拾ったんでしょうね(^^;)。僕が買ったこの文庫本は、「恐怖の四季」の秋と冬が収録されていました。
「スタンド・バイ・ミー」=「秋」=「The Body」。本当にホラー小説じゃなくて、ほぼ映画と同じストーリーでした。そして面白い!!映画との違いは大きく言うとふたつだけで、ひとつは、小説には、映画には出てこない主人公ゴディの書いた物語がいくつか出てくる事。これは、実際にある種の比喩になってるとは思いますが、僕的にはあんまり面白くなかったので、映画でカットしたのは正解だったのではないかと。小説でもカットして良かったような(^^;)。そして、もうひとつの違い、これはけっこう大きな違いで(ここから、ネタバレを書くので、読みたくない方は少し先に飛んでくださいね^^)…最後に銃を撃つのが、主人公ではなくて親友のクリスになっている事。へ~そうなのか!こうすると、ちょっと意味が変わってくると思うんですが…いや、
このシーンを、少年たちの少年期の終わりの象徴として書いてるんだとしたら、どちらがやったにしてもそこまで意味は変わらないのかな?ついでに書くと、バーンはのちに焼死し(バーンだからか?)、デディは自動車事故で死にます。クリスの結末は、映画と同じ。ゆく川の流れは絶えずして…ですね。諸行無常。
「マンハッタンの奇譚クラブ」。ページ数は「The Body」の半分以下でしたが、これも面白かったです!こっちの方がスティーヴン・キングっぽくて、幻想的でした。ある法律事務所に勤める紳士が、その事務所のトップのおじいさんからとある紳士クラブに誘われ、そのクラブに通うようになるというもの。そのクラブは高層ビルのあるフロアで開催されていて、珍しい本があったり、上等な酒を出してくれたり。しかし、ビリヤード台が観た事のないメーカー製であったり、深い質問をすると諭されたりと、少し不思議な空間なのです。そしてこのクラブ、クリスマスになると、クラブ会員の誰かが面白い話を持ち回りで話す事になっています。
以降、ネタバレを書いてしまいますが…あるクリスマスに話された話は、とある産婦人科医が、父なし子を産む決心をした魅力的な若い女性の話。医師は彼女に大変な関心を抱き、妊娠からお産までをがんばって助けています。いざお産の日になると、ニューヨークはひどい渋滞で、タクシーに乗って駆け付けた彼女はタクシーの中で産気づいてしまいます。そして、病院の前で事故に巻き込まれ、首が飛んで死亡。でも医師は、何とか子供だけは取りあげ、それを見ていた彼女の首は医師に礼を言います。また、主人公の紳士は、この奇譚クラブのある空間自体が、普通でない異次元にあるものなのではないかと確信を抱くようになった…スティーヴン・キングっぽくて、面白いでしょ? ある種ラヴクラフトっぽくて、なかなか魅力的な話でした(^^)。
映画抜きにしても、あるいはホラー抜きにしても、小説として面白かったです。内容的には、あくまで電車の中などの空いた時間に読んで捨てる本だとは思いますが、読んでいる最中は夢中になってしまう面白さでした。スティーヴン・キング、なかなかやるな。。これで僕は、
「恐怖の四季」の春と夏も読むことになったのでした(^^)。
- 関連記事
-
スポンサーサイト