
日本コロムビアがリリースした純邦楽の「人間国宝」シリーズの尺八、都山流(とざんりゅう)の
山本邦山です!都山流といえば尺八の最大流派、その中でも僕の世代では山本邦山がいちばん有名でした。ジャズと絡んだり、革新的な活動の目立つ人だったんですよね(^^)。収録は5曲で、都山流本曲が2曲、作曲家の広瀬量平作曲が1曲、邦山さんを含む昭和になって書かれた曲が2曲。編成は、尺八独奏2曲、尺八合奏1曲、箏(奏者は
沢井忠夫さん!)1曲、三曲が1曲(三味線:杵屋五三郎、箏:宮下伸!)。
このCDを聴いてすぐに思ったのは、「
尺八ってこんなに音が高いものがあるのか」という事。極端に言えば篠笛の音の低いやつ、ぐらいに甲高い音だったんです。音程だけでなく、音の立ち上がりも息の成分がそれほどなくパッと出るので、余計そう感じるのかも。尺八って「一尺八寸管」みたいにサイズで呼んでいるので、色んな音高のものがあるんでしょうが、それにしてもこれはびっくりしました。竹を切り出してるから、音色だって一本ずつ違うだろうし。でも、三曲合奏という琴や三味線と合奏するジャンルがあるので、ピッチは一本ずつバラバラでよいわけではないんだろうな。
そして、
けっこう技巧的でした。
「木枯」という都山流本曲でもターンやプラルトリラーを普通に使っちゃうんですよ!広瀬量平「鶴林」なんて尺八でどういう技巧を使えるかを試したような部分すらある曲でしたし、
尺八って音を出すだけでも大変と聞くのに、こんなこと出来ちゃうんだ、みたいな。でもこれは良し悪しの気もして、西洋音楽に寄せすぎたようにも感じもしました。間が十分でないと感じちゃったのです。その理由は、表現よりも技巧が優先しちゃったからなんじゃないか、みたいな。山本邦山と言えば現代尺八最大の超ビッグネーム、ジャズでいうマイルス、クラシックでいうカラヤンみたいな人なので、現代の尺八全体がこういう傾向にあるのかも知れません。
このCDで特によかったのは、三曲合奏を聴くことが出来た事でした。純邦楽ってそれぞれの楽器の演奏はよく聴いてきたんですが、三曲合奏はほとんど聴いたことがなかったのでね(^^)。でも、本当にこれを三曲と呼ぶのか自信がないです。だって解説のどこにも「三曲」という言葉が出てこないんですもの。。
山本邦山はゲイリー・ピーコックや山下洋輔とも絡んでいたし、現代曲にも挑戦していたし、尺八の近代化で大きな仕事をした人なんだと思います。西洋音楽的な良さを得るところがあって、引き換えに古典的な尺八の美感の一部を失ったという事なのかも。このあたり、すべてを取る事は出来ないでしょうから、どれが最善かを決めるのは聴く人それぞれに託されてしまう所なのかも。曲も演奏も、かなり現代的な尺八のCDだと思いました。
そして…ええ~このCD、今は1万円近い値段がついてるのか?!僕が中古で買った時には1000円ぐらいなもんだったけどなあ。日本ってセドリ文化が広まってしまって、本当にその作品を読んだり聴いたりしたい人の手元に適正価格で渡らない所が残念です。コロナ騒動の時のマスクの買い占めもひどかったしなあ。
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