R.シュトラウスの大名曲
「4つの最後の歌」、大トリは
ジェシー・ノーマンです!ジェシー・ノーマンさんは昨2019年の9月に天に召されました(・_・、)。ニグロ・スピリチャル、讃美歌、歌曲…僕にとってのジェシー・ノーマンさんはオペラ歌手ではなくコンサート歌手、その極めつけがこのCDです。
このCD、僕にとってはジェシー・ノーマンのとどめというだけでなく、リヒャルト・シュトラウス「4つの最後の歌」のとどめでもあります。ノーマンさんが他界した時、今年の最後に聴くCDは絶対これにしようと思ってました。オケはクルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。「4つの最後の歌」のほかは、ローベルト・ヘーガーがオーケストラ編曲したシュトラウス初期歌曲を6曲やっていました。
キリ・テ・カナワとショルティ&ウィーンフィルの録音とけっこう曲が被っていたので、聴き比べてみるのも面白いかも。
「4つの最後の歌」、ノーマンさんはゆったりたっぷりしているうえに声量がすごい!それを受けるように演奏するオケとソプラノのシンクロ具合がヤバい!第1曲「春」の最初の1分で魂を持って行かれてしまう…。そして、第2曲「9月」の最後、歌が静かに抜けてホルンが流れる事でコーダに入って行くんですが、この切な美しさはちょっと言葉に出来ない…。 他の曲でも心を打たれたものがありました。
「あすの朝」op.27-4。歌も音楽も静かに美しく感動的なんですが、ジョン・ヘンリー・マッケイの詩がヤバいです。「あすは太陽がふたたび輝き、私が行くはずの道で、この陽を呼吸する大地の中で、我々を幸せにまたひとつに結び付けるだろう」。
若い頃の僕は、ロマン派の詩がほとんど理解出来ませんでした。例えばこの詩、若い時だったら文字通りに受け取っていたと思うんです。もしそう読んでしまったら、何が良いんだかさっぱりわからなかったかも。でもこれ、伴侶に先立たれた男の詩の心情を歌っているんじゃないか…そう思た途端に胸がギュってなりました。。今の僕は、
ロマン派詩の主要テーマは死と救いだと思いはじめているんですが、この詩もやっぱり死を救いとか永遠の世界への帰入のように捉えていて、人を死の苦しみから救っているのではないかと感じるんです。そしてそれが涙が出るほどに素晴らしい…。
録音は1982年でややオフ目、エッジの立った音ではなくて、管弦の音がほどよく溶けて滲んだような感じ。だからかも知れませんが、シャキシャキした演奏というより、大きく大きくうねるような印象でした。そして、それが素晴らしいです。
やっぱり白眉は「4つの最後の歌」。音楽好きでもクラシックは聴かないという人が稀にいますが、シュトラウス「4つの最後の歌」のオーケストラ版は絶対に聴くべき、これに感動できないわけがないです。これだけ素晴らしい曲を書いたシュトラウスもすごい、この音楽をリアライズしたノーマンさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団もすごい、そしてこの詞を書きあげたヘッセも素晴らしい。音楽や詩って、人間が人間らしく生きるために、無くてはならないものなんじゃないかな…。こういう詩や音楽を全く体験できずに終わる人生なんて僕には考えられません。本当に素晴らしい音楽でした。大推薦!
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