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『イスラエルの音楽 Israël: Traditions Liturgiques Des Communautés Juives 1 / Les Jours Du Kippur』

Israel no ongaku イスラエル、今では唯一のユダヤ教国家ですが(といいつつも元々その地に住んでいたイスラム教徒もいっぱいいるらしいです)、イスラム教の聖地も、キリスト教の聖地もここにあります。思想的な意味では、西洋と西アジア世界は、3000年以上にわたってイスラエルを中心に動いてきたのではないでしょうか。これはフランスのOcoraから発売された、イスラエルの宗教音楽のCDです。1977年にラジオフランスが現地で録音したもので、日本ではキングレコードが「世界民族音楽大集成」の38巻としてリリースした事もあります。

 収録されているのは、すべてユダヤ教のスリホトの祈りでした。スリホトというのは、年の終わりの1週間~40日間(この長さは共同体によって違う)の明け方に繰り返される、その年の懺悔の祈りの事だそうです。夜中の3時ごろ、まだ日もささない闇の中で小さなグループが形作られて、スリホトが唱えられはじめるんだそうです。嘆きの壁の録音では、合唱の合間に、遠くからまた合唱がきこえるのがリアル。なるほどいくつものグループが唱えてるんですね。。

 収録されたスリホトは全部で4つ。最初の2つが嘆きの壁で録音されたイエメン系共同体のもので、残りのふたつはエルサレムで録音されたブハラ系共同体のもの。このふたつの共同体は…ちょいと世界史を思い出さないといけないんですが、イスラエル国家の成立自体が2次大戦後と最近の事。あの「分割して統治せよ」といって、世界各地で兄弟げんかをさせて支配しようとした悪魔のクソ国家イギリス政府の二枚舌外交が引き金となって、国を持たなかったユダヤ教徒が、イギリスが約束したユダヤ教の聖地に国家を作ったのがその始まり。そして、国が出来てすぐにイスラエル政府が行ったのが、そこら中に散らばっていたユダヤ教徒をイスラエルに集める事で、そのひとつがイエメン系、もうひとつがブハラ系というわけです。ところでイエメン系って、あのアラビア半島の最南端にあるイエメン共和国にいたユダヤ人という事でしょうか。本当に世界中に散らばってるんだな。ニューヨークの金融業を押さえているのはほとんでユダヤ人だなんて聞いたこともありますが、本当なんですかね。。

Israeru_nageki no kabe どれも無伴奏合唱(ブハラの1曲だけ羊の角笛の音が混じってました)。合唱といっていいのかどうか…節はついてるんですが、音楽というよりあくまで祈祷という感じ。実際に祈祷なんですからそりゃそうか(^^;)。
 イエメン系の方は、祈祷のリーダーみたいな人が祈祷文を唱えて、それを追いかけるように皆の衆がついていく感じ。ブハラ系より高度な祈祷に感じました。その理由って何なんだろうかというと…イエメンは離れていたので、モーゼ五書は読んでるもののタルムード(ユダヤ教の律法書)は知らず、かわりにゾハール(ユダヤ神秘主義カバラの中心文書)の研究に秀でていたそうで。つまり、独自の進化を遂げたユダヤ集団なんですね。
 一方のブハラ系は、もともとウズベキスタンのブハラに住んでいた人たちの事で、19世紀にパレスチナ一帯に広がっていたそうです。そのうちのユダヤ教徒たちがイスラエルに集結したという事かな?こっちは密教系ではないようで、みんなでシナゴーグ(キリスト教の教会、イスラム教のモスクのようなもの?)に集まってスリホトを唱えている、みたいな感じでした。しかし、子どもの声も混じってるのですが、子どもですら文言を全部覚えているのはすごい。。ああでも、僕も子供の頃は日曜学校で般若心経を覚えさせられて全文暗記していたから、出来ない事ではないのか。

 さて、政治に宗教という2大アンタッチャブルなネタに触れてしまった今回の日記ですが、これは僕たちが日常的に接している娯楽音楽ではなく、人類の智慧や歴史そのもの。好きとか嫌いではなく、これは聴いておかないといけないものではないかと。イスラエルの年末の明け方の嘆きの壁やシナゴーグを体感できる、ものすごいCDです。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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