ユダヤの音楽といえば、宗教音楽以外で僕が知っているものでは何はなくともクレズマーです。
クレズマーは、管楽器とヴァイオリンとクラリネットあたりが入ってるアンサンブル音楽で(たまに歌もあります)、雰囲気は僕の印象でいうとヨーロッパの大衆音楽とトルコあたりのアラビア音楽が混じった感じです。いつからある音楽なのか知りませんが、このCDは1905年から52年までの録音を集めたもので、録音として残っているクレズマーの最初期のものを含んでるらしいです。いろんなバンドの録音が入ってましたが、何曲か録音されてるミュージシャンはArt Shryer、Abe Schwartz あたり…ですが、どれも僕の知らない人ばかり(^^;)。かろうじて知っていたのは
Dave Tarras だけでした。
クレズマー、めっちゃくちゃ雰囲気ある音楽で、僕は新しいものより古いものの方がより好みでした。古いものの方がクラシック色も中東色も強くて、音楽に個性を感じるんですよね(^^)。
特にいいのが、エキゾチックで多彩な所。たとえば、色んな調やモードが出てくるんです。調で言えば、たいがい曲中で調の交換が入って、たとえばハ長調の曲が曲中でホ短調にすり替わって、またハ長調に戻る、みたいな。旋法も、
ミの旋法なんて当たり前に出てきます。要するに、50年代以降の英米ポップスやロックみたいにどれもこれも長調か短調の二択という画一的な響きじゃなくって、色んな雰囲気の曲があるんです。曲の中でのムードの転換も、古典タンゴがこれと似たスタイルですが、あれより高度。こういうところって、アラビアの
マカームや東ヨーロッパあたりのジプシー音楽の影響があるんじゃないかなあ。
でもそれがマカームみたいに芸術性の強いものじゃなくて、もっと大衆音楽っぽく作ってあって分かりやすいです。印象でいうと、チャップリンの映画とか、
エディット・ピアフの音楽なんかで聴くことのできる古き良き民間クラシック・アンサンブルみたいな雰囲気。あれがエキゾチックになったみたいな…ね、聴きたくなってきたでしょ?いいんですよ(^^)。
このCD、ライナーを読むと、Mikhl Guzikow やAvram Moyshe Kholodenko なんていう19世紀の有名なクレズマーの作曲家の曲をけっこうやっているみたいだし(ど、どっちも分からねえ゚ω゚*)、作りが豪華なので、クレズマーをはじめて聴くならこのCDは最高かも。
ブックレットがすごくて、ものとして豪華なだけでなく、説明がすごく細かくて、僕みたいなクレズマー初心者には最高の1枚でした。これは大推薦!
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