
ルネサンス音楽といったら
ブルゴーニュ楽派と
フランドル楽派のネーデルランド楽派ですが、ルネサンスの本家本元の
イタリアには、ローマ・カトリック教会の総本山ヴァチカン宮殿があります。システィーナ礼拝堂はヴァチカン宮殿の中にあって、ミケランジェロやボッティチェッリが書いたルネサンス絵画でいっぱい。これは、そんな
システィーナ礼拝堂で歌い継がれている聖歌を収めたCDです!
とか言って、僕がこのCDを買った当時はまだ若くてシスティーナ礼拝堂には興味なし。
お目当てはルネサンス期のイタリア人作曲家の代表格パレストリーナでした。パレストリーナの曲が7曲中4曲も入っていたんですよ。特に
「スターバト・マーテル」(悲しみの聖母)。このタイトルの曲はいろんな人が書いてますが、いちばん有名なのはパレストリーナ作曲のものだと思うんですが聴いた事がなかったもんで、聴いてみたかったんです(^^)。そして聴いてビックリ、
4声が2チームに分かれた8声で、両者が掛け合い。これはすごい、ルネサンス建築なみの精巧さだよ、しかもこれだけ音が重なってるのに不協和にはまったく聴こえずに美しい。嘘だろ、神技としかいいようがないぞ、こんなの。。ルネサンス期の作曲家って、今の作曲家よりもぜんぜん凄かった気がするんですよね。パレストリーナはネーデルランド楽派の技法を受け継いでいると感じますが、そこにイタリアならではの美しい旋律が絡んでいる所が特徴でしょうか。新しい技法を生み出した人ではなさそうだけど、洗練を極めた人という感じ。
パレストリーナはローマ楽派なんて言われてますが、同じくローマ楽派のグレゴリオ・アレグリの曲も1曲入ってました。この曲のタイトルは「ミゼレーレ」、詩篇第50篇を使った9声の曲で、システィーナ礼拝堂以外で歌う事を禁じられた秘曲だったそうです。斉唱と多声が交互に繰り返される構造をしてるんですが、これはぜひ聴いてみて欲しい、美しいです。
スペインからローマに移ったクリストバル・デ・モラレスの曲も1曲入っていました。モラレスはスペイン人作曲家で最初に有名になった人なんて言われてます。「ヤコブの嘆き」という曲、これはカノン状に連なる多声で(このCDだと混声合唱)、その入れ子細工が実に緻密。いや~パレストリーナさえ聴ければいいやなんて思って買ったCDでしたが、他の作曲家もみんなすごくて驚きです。ルネサンス期の人って頭がよかったんだなあ。。
アルバム最後に入っていたのは、フランドル楽派の大有名人
ジョスカン・デ・プレの曲「主の祈り第2部/アヴェ・マリア」。正直にいうと、僕にはフランドル楽派とローマ楽派のモテットの差が分かりません(^^;)。でもひとつ言えるのはどっちも入れ子細工のカノンが見事で、しかもコーラスがひたすら美しい。。
いずれも聖歌なため、世俗曲と違ってかなり荘厳。そして、多声でカノン状に折り重なる装飾に凝るので、1曲1曲が長いです。これでもローマ教皇から「詩がちゃんと聞こえるようにしろ」とお達しがあって技巧的になりすぎないように抑えてあるというんだから、当時の作曲家の対位法の使いこなし方はハンパないです。
パロット指揮タヴァナー・コンソートの合唱は混声で、歌唱がシロス修道院風のクレッシェンドとデクレッシェンドを強くつける歌い方で、素朴ではなく超現代風。ルネサンス音楽ローマ楽派の音楽を聴きたい方には、ビンゴなCDだと思います!
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