ローマ楽派
パレストリーナ の作品では、こういうCDも聴いたことがあります。すべてパレストリーナ作品で、しかもミサ曲と
モテトゥス の両方が入ってるので、パレストリーナの作曲技法を色々と聴けるんじゃないかと思いまして(^^)。ルネサンス時代の作曲家にとってのミサ曲は交響曲みたいな一面があるので、やっぱりミサ曲を1曲ぐらいは聴いておきたかったのが大きかったです。ちなみに、
大バッハもパレストリーナのミサ曲に影響を受けた と言われています(^^)。ちなみに、このCDに入ってた曲は以下の通り。
・ミサ曲「エテルナ・クリスティ・ムネラ」
・予言者エレミアの言葉
・モテトゥス「谷川慕いて鹿のあえぐごとく」
・モテトゥス「バビロンの川のほとりに」
・モテトゥス「おお、慈悲深きイエス」
ライナーを開いてみると…うわあ、パレストリーナはミサ曲を104曲も書いてるのか?!小曲のシャンソンやモテトゥスなら分かりますが、ミサ曲104曲っていったいどういう事でしょう、人間にそんな事できるのか。。
このCDに貼っていたミサ曲は「エテルナ・クリスティ・ムネラ」で、パラフレーズ・ミサ曲だそうです。
パレストリーナは5種類のミサ曲を書いている そうで、これが
ミサの種別の勉強になったのでまとめると… ① 定旋律ミサ曲:グレゴリオ聖歌などで使われた旋律をある声部に置いて(だいたいテノール)、あとは新たに作曲する ② パラフレーズ・ミサ曲:聖歌なんかから取ってきた旋律素材を自由に変形して作るミサ曲 ③ パロディ・ミサ曲:世俗曲から素材を持ってきて作るミサ曲 ④ カノン・ミサ曲 ⑤ 自由モチーフのミサ曲 へ~、定旋律ミサはいろいろ聴いてきましたが、パラフレーズ・ミサっていうのがあるんですね、勉強になりました(^^)。ちなみに、ミサ曲「エテルナ・クリスティ・ムネラ」の旋律素材になっているのは、使途と福音史家共通の朝課で歌われるイヌムス「キリストの永遠なる贈り物 Aeterna Christi munera」の冒頭部分だそうです。このミサ曲、厳かで静謐というより、どこか爽やかで明るい曲調でした。5つの楽章すべてでこの素材を使っていたので、循環ミサという事にもなるのかな?
「予言者エレミアの言葉」は、旧約聖書に出てくる予言者エレミアの言葉に音楽をつけたもの。エレミアはバビロン捕囚を実際に経験した預言者 で、それが詩にも出ていました。「われらが家は異邦人のものとなれり」みたいな。それでいて、暗く重い音楽にならず、どこか清々しいのはパレストリーナの音楽の特徴なんでしょうか。ちなみに、パレストリーナと同じローマ楽派の作曲家に
カヴァリエーリ という人がいますが、この人もエレミアを題材にした巨大な哀歌を書いています。これも聴いた事があるので、次回にでも書きますね(^^)。
モテトゥスは3曲入ってました。CDのタイトルにもなっていた「バビロンの川のほとりに」は、日本でも良く歌われる有名なモテトゥス…だそうですが、キリスト教徒ではない僕は知らなかった(^^;)>イヤア。このCDに入っている曲では珍しい短調系。詩編第136(プロテスタントでは137)を声楽曲化したもので、「バビロンの川のほとりにわれら座し、シオンを思って涙する」みたいな詩なので、これも旧約の世界かな?
ブルーノ・ターナー指揮プロ・カンティオーネ・アンティクヮ の合唱は、外したことがあったもんでちょっと怖かったですが、このCDのパフォーマンスは素晴らしかったです。曲によって人数が変わって聴こえたんですが、男声合唱でカウンター・テノール、テノール、バスを、
曲によりますがだいたい4コース に振り分けて歌ってました。録音がじゃっかんモケモケなのは74年録音だからでしょうが、ARCHIVがリリースした古楽CDは、古楽リバイバルで超重要な仕事をしていて、しかもこれが基準になっているようなところがあるので、今でもパレストリーナ演奏の手本となっている1枚じゃないかと!
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