
ネイティブ・アメリカンのうち
北米インディアンの血をひくふたりの人が書いた、北米インディアンの教えの本です。詩か散文になっていて、一節が終わると翻訳者の解説が書いてありました。
どう生きるかという人間の在り方に対する哲学ではないかと思いました。とにもかくにも
素晴らしい教えが多くて、深く感銘を受けることもしばしば。どの教えもその
ベースに「人間は自然と一体」という思想があるように感じられました。例えばこんな詩。
世界を知ることは賢くなること。
自分を知ることは目を開かれること。
宇宙を知ることは万物とひとつになること。 (p.52)
この世の旅では 真に心を開くように努力しなさい。 (p.92)
人なり自然なりとの調和のうちに自分の人生を考えろ、という事に思えました。で、その調和の先が人間が後から作ったルールやモラルではなく、あくまで自然であるという所が正しいな、みたいな。
実に素晴らしい本でしたが、教えの後に書かれている日本語訳をした人の解説がクソで、ネイティブ・アメリカンの考えを完全にはき違えていました(^^;)。。例えば、以下の詩。
自己を体験することは 新しい生に 永遠に開かれた窓。
それは初めて大地に触れる太陽の光 原初の雨 サイクルの始まり。
生の喜びに笑うあなただ。
で、その解説が…
あなたがしたいことを今日一日でいいから、今、しなさい。
先に延ばさないように、大きなことでなくていいから。
ラーメンを食べたければ、ラーメンを食べればいい。
「あー、ラーメンを食べたぞ」という満足感で、次に行ける。
ひどい曲解、北米インディアンの教えも台無しだぜ(^^;)。これが、狙ってやってるんじゃないかと思うほど毎度なんですよ。というわけで、解説はすべて読み飛ばしましょう。
いま世界を制覇している西洋文明って、優れてはいるけれど、哲学も頭の中で作ったイデアールなものをベースに考えたり、科学も自然を無視(や破壊)して進んだり、政治も弱者を犠牲にすることで強者が理を得る構造になっていたりで、根本のところで何か誤ってしまっている気がするんです。それって、正義の根本に自然を置いてないからなんじゃないかな、みたいな。根本に自然を置いた考えといえば仏教もそうですが、仏教がすごく哲学方面に伸びていって一般人には難しいところまで行ったのに対して、ネイティブ・アメリカンの教えはあくまで社会成員のすべてに分かりやすい言葉で書かれているのが身の丈な感じですごくよかったです。解説はともかく、詩の部分は実に素晴らしく、これは読んでよかった本でした!
すぐ忘れてしまうもんで、備忘録として心に残った詩をいくつか書き留めておこう、そうしよう。
■p.13
「魚は自分が水の中にいることをどうやって知るのか?」水の中から出されてはじめて、魚は自分が水の中にいたことを知る。
■p.22
ねずみは警戒心と集中力を教えてくれる。もし、ねずみが何かに気をとられていたり、ぼんやりしていたら 無防備な姿をさらして鷹の餌食になってしまう。
あなたの人生の焦点を見つめよ。時おり目をあげて 何よりも大切な教えを見逃さないように。■p.23
狼は我慢強さと先を読んではかること、そして待つことを教えてくれる。
狼は風のように走ることも、石のようにじっとしていることもできる。
■p.52
世界を知ることは賢くなること。自分を知ることは目を開かれること。宇宙を知ることは万物とひとつになること。
■p.53
生徒がいなければ先生もいない。
聴く耳がなければメッセージもない。■p.66
恐怖そのものに傷つけられることなどあるものか?
あなたが恐怖に動かされなければ 恐怖はあなたを傷つけることなどできないのだ。
みずから恐怖にのまれてしまったら 恐怖があなたの主人になる
■p.80
虐待は虐待を生む 暴力は暴力を生む 尊重は尊重を生む
我々はどの道をゆこうか?■p.91
会議のように、開かれた耳で聴け。(中略)
率直な言葉で語れ。■p.92
この世の旅では 真に心を開く努力をしなさい。
人にあなたの内側を見せなさい。あなたの自己にも外を見せてやりなさい。
■p.93
あるがままのあなたの自己を見つめる勇気を持て。
あなたが出会うものをあなたの自己に見せる勇気を持て。
正直さが時にもたらす痛みを受け入れよ。
また正直さの翼に乗って舞う喜びをも。
■p.94
率直な言葉で語れ。
避けられないものと真っ向から向かい合え。恐怖から逃げるな、強引に克服しようともするな。
心を開け、正直な曇りなき気持ちであなたの兄弟姉妹とつきあえ。
■p.96
折りに触れて反省せよ あなたの桶が空っぽの時。澄んだ水で満たしただろうか?
折りに触れて反省せよ あなたの桶がいっぱいになっている時。中の水をあけただろうか?
■p.98
山のことを考えるのは出会った時でいい。登らねばならない時にだけ登れ。目の前にある時だけ見よ。■p.99
感謝の心は聖なる輪の旅の途上で あなたが与えることのできる最大の贈り物。それは後悔を帳消しにする。■p.107
老いがなければ聖なる輪もない。
死がなければ生もあり得ない。■p.110
おのれを知れ。みずからを鍛え上げよ。自分自身であれ。わが身を分け与えよ。
自分とつきあう時間を持て。自分を良く知れ。よそ見をするな。言い訳するな。
自分らしく生きる勇気を見出せ。人真似でなく、願望でもなく。他でもないあなた自身として。あなたのような人は他にいないのだ。■p.160
他人を裁くことは 彼らのものの見かた、行動、態度の違いに対する ひとりよがりな非難。■p.176
寛容であれ、寛容さが共感への扉を開くのだから。共感せよ、共感が(以下略)
■p.184
最善を尽くして、あとは忘れろ■p.185
心配事はすべて未来にあるのだから、あなたがなすべきは現在に立ち戻ること。
- 関連記事
-
スポンサーサイト