
バロックの作曲家といえば現代で思い浮かぶのは
大バッハですし、バッハしか聴いていないという人も少なくないのでは。バッハの有名作をざっと聴くだけでも大変ですしね(^^;)。でもバロック期には他にも有名な作曲家がいっぱいいて、当時はバッハより著名な作曲家も多数存在。国別にまとめて見ると…
■イタリア:モンテヴェルディ、フレスコバルディ、コレルリ、スカルラッティ、
ヴィヴァルディ■フランス:リュリ、クープラン、ラモー、シャルパンティエ
■イギリス:パーセル■ドイツ:シュッツ、テレマン、J.S.バッハ、
ヘンデル テレマンはドイツの18世紀バロックで、活動期間がほぼ大バッハと同じ、当時はバッハよりはるかに有名&売れっ子だったそうです。
作曲の才能も強烈で、管弦楽曲、室内楽曲、教会音楽、声楽となんでもござれ、カタログに残っているものだけでも3600曲以上を書いたという化け物です(^^;)。こんなの、作曲するどころか聴いているだけでも人生を使い切っちゃうよ。。というわけで、このCDはテレマンの室内楽をいくつかチョイスしたものでした。7曲すべてが違う楽器編成にしてありました。といっても、通奏低音と幾つかのメロディ楽器のアンサンブルなので、編成が変わった印象はあまりなくて、スッと聞けてしまう感じでした。メロディ楽器と通奏低音の曲が2曲、メロディ楽器2つと通奏低音のトリオ・ソナタが3曲、メロディ楽器3つの通奏低音の四重奏曲が2曲。
ドイツ・バロックってバッハを中心に入ると荘厳で宇宙的な音楽と思ってしまいがちですが、テレマンやヘンデルを聴くと軽やかな音楽だと思ってしまうなあ。ルネサンス音楽から宗教性を取り除いた感じというか。このCDに入っていた室内楽曲も、緻密なアンサンブルと馬鹿テクのプレイヤーたちじゃないととても演奏できそうにない曲のオンパレードでしたが、でも曲の雰囲気は明るく軽やか。短調のほうが多い気がするのに、重苦しくならないところがすごい。
それでいて、通奏低音入りの18世紀バロックならではの、
メロディ楽器に要求される技術がすごいです。テレマン自身は「俺は簡単でわかりやすい曲しか書かないぜベイビー」な~んていっていたそうですが、これは十分なテクニックを必要とすると思っちゃいました。それとも弦や管の人にとってこれは簡単なんだろうか。ビックリするのは、18世紀当時のドイツって、バッハの難解な曲にしてもなんにしても、プロの楽士じゃない人がこういう曲を演奏しちゃってるんですよね。テレマンの楽譜なんて、他の国では貴族が買ったのに、ドイツは市民が買っていたというんですからなんと音楽レベルの高い社会なんだろうと思います。音楽でドイツ、インド、イランに勝つのは難しい。。日本とは音楽に対する姿勢そのものが違うんだなあ。
軽く聴いても明るく楽しい、深く聴くと作曲と演奏のすごさにのけぞる、でもこれは自分たちで演奏した時がいちばん楽しいんだろうなあ。。僕は通奏低音の楽譜が読めませんが、アレを読んで演奏するのって、今で言うジャズのセッションみたいな楽しさがある気がする…やっぱり自分で演奏するといちばん楽しいんだろうなあ。バッハは教会寄りでマジで宇宙の事を考えていそうで好き、ヘンデルは貴族に媚びている感じで嫌い、
テレマンは充分な才能を持っていながら市民も楽しめる音楽を書こうとしたようで好きです。そうそう、曲も演奏も録音も文句なし、すばらしいCDでした!
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