テレマンの音楽、室内楽曲につづいては管弦楽曲です!でもバロックなので、管弦楽曲といっても編成が小さくて、ジャズで言うスモールコンボぐらいな感じ。このCDは、あまり演奏される事のなかったテレマンの楽曲を取り上げた協奏曲集でした。
演奏や録音が素晴らしい事もあるのか、それともルネサンス音楽やバロックは作曲法がメカニカルなところがあるから質を維持しやすいのか、とてもこれが「テレマンの知られざる協奏曲」とは思えない
高いクオリティの曲ぞろいでした。でもそういうこともあるか、だって4000曲も書いている作曲家だから、あまり演奏されない曲の中にだっていい曲があっても不思議じゃないですよね。僕の経験だと、有名曲よりも知られてない曲の方がぜんぜんいいなんて事はざらにあるし。まあでも通奏低音の音楽はジャズに似ていて、演奏者でかなり変わっちゃうので、
これはベルリン・バロック・ゾリステンの演奏がすばらしいのかも。
そして、よく聴くと相当に高度な事をやらされている演奏や作曲に感じるんですが、全体としては飄々とした音楽に感じる雰囲気が良かったです。まずフォルテにならないし、テンポもデュナーミクもあくまで激しい変化をしないというのもあるんでしょうが、もっと根本的なところに理由があるのかも。僕は今の時代の音楽が持っている個人主義&主知主義的&叙情的な音楽に慣れすぎているのか、バロックを聴くとどこかで人間的でない…というか、なんともいえない突き放したところがある音楽に感じるんですが、でも構造だけがあるかというとそんな事もなくて、色々な曲想によって心に感じるものがあるんですよね。また、楽器奏者同士のアンサンブルさせるための気持ちの交流みたいなものがバロックってものすごく大事というか、ロックやジャズのように周りを聴かずに演奏してもなんとなく成立してしまう音楽と違って、本当に呼吸を合わせる必要のある音楽と感じます。この相容れないものの同居している感じが独特の響きを生み出しているというか…要するに、よかったっす(^^)。
いまドイツ・バロックの有名人を挙げるなら、まずあがるのが
バッハとヘンデル、次点でテレマンぐらいじゃないかと思いますが、当時はテレマンのほうがバッハより全然有名な売れっ子。なぜそうなのか、このCDを聴いてなんとなく分かった気がします。
深く聴けばすごくよく出来てるけど、さらっと聴いてもそれはそれで難解さがなくて気持ちが良かったです。大衆性があるんですね、きっと。バッハやテレマンに入れ込んだら何千曲も聴く羽目にあってしまうので、僕は室内楽、管弦楽、宗教音楽をざっと聴いてそれ以上深入りしないようにしましたが、深入りしても外れでは決してない作曲家だと思います。もし人生が200年あるなら、もっと深入りしたい作曲家でした。
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