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Category: CD・レコード > ジャズ   Tags: ---

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『阿部薫 / ソロ・ライヴ・アット・騒 Vol.2』

AbeKaoru_Solo Live at Gaya 2 日本の即興系のアルト・サックス奏者・阿部薫さんのソロライブ集です。これは東京の初台にあった「騒」という小さなライブハウスでの阿部薫のライブ・パフォーマンスをCD10枚に分けて発表するという、とんでもないプロジェクトの中の第2集。大学生の頃、日本のフリージャズを熱心に聴いたことがありまして、その時に阿部薫のCDもずいぶん買ったんです。でも、このシリーズ10枚を全部手に入れようなんて気はなくて、アルト・サックスの演奏は色々と聴いていたから、それ以外の楽器を演奏しているものだけセレクトして買ってました。この第2集は、1978年1月12日の3ステージが収録されていました。第2集は、ピアノ、ソプラノ・サックス、アルト・サックスの演奏が収録されていました。

 エスプレッシーヴォに楽器を演奏するのがうまい人、というのが、即物的に見たときの僕の阿部薫評です。楽器は何でもいいんですよね、ピアノでもサックスでもギターでもハーモニカでも。ピアノの演奏を聴いても、チャンス・オペレーションとは全然違って、ネコが演奏しても子供がピアノの鍵盤の上を歩いても同じというものではなく、立派な表現があります。それも、胸に迫ってくるものがあります。ただし…これは言ってしまって構わないと思いますが、音の選択は本当にメチャクチャ。恐らく、音を組織化する勉強や努力はしていなくて、音楽を表現の一点に見ていたんじゃないかと。日本のアングラな即興音楽って、そういう節がありますよね。技術や知識がないという事もあるんでしょうが、音楽というのは表現なんだとみている所もある、みたいな。

 でも、このCDを聴いていて感じるのは、そういう即物的なところ以上に、時代の雰囲気でした。この録音、フォルテッシモになると、録音がバチバチと歪むし、テープがよれて聴こえるところもあります。場所によっては転写を起こしてしまっていて、サックスを吹く前に同じ音がゴーストで聴こえちゃったり。お客さんの拍手もパラパラで、お客さんは3~4人なんじゃないかなあ。で、こういう状態でも良しとしちゃうある時代のアングラな雰囲気が、なんだかすごく感じちゃいました。

 ミュージシャンで食べて行こうと決心した若い頃、所属していたジャズバンドのツアーに合わせて、少しだけ東京に住んでいた事があるんですが、その時、フリージャズ系のハコに興味があって何軒も見に行ったんです。そしたら、70年安保の頃にタイムスリップしたのかと思うほどの雰囲気あるハコがいっぱいあってビックリ。荻窪のグッドマンなんて、椅子からバネが飛び出しちゃって、それを隠すためにその上に座布団を敷いてあったり、床が埃だらけで何年間掃除機かけなければこうなるんだろうって状態だったり。日本のアングラ映画で見た全共闘の隠れ家みたいな雰囲気だったんですよ。フリージャズやアングラ劇団や前衛映画があって、全共闘として戦って、麻雀やって、ガロを読んで、学生が戯れるバーで政治談議や音楽談義をしたりして…この音楽って、そういう雰囲気なんですよね。

 でも、そういう酒飲んで芸術談義して麻雀やってなんていう生活がいつまでも続くはずもなく、学生時代が終わればみんな社会人になって、そういう文化を持っていたロック喫茶もジャズのハコもアングラ映画館も徐々に潰れて、団塊の世代の革命はどこに行ったのか…みたいな。
 フリージャズがいちばんよかった頃のミュージシャンでも、富樫雅彦さんや山下洋輔さんみたいに音楽の素養がちゃんとある人は、うまいこと次の時代に移行してスーツ着て演奏する人になったし、近藤等則みたいな商売っ気ある人は妙にポップなことやって「あの頃は何だったんだ」みたいになりましたが、阿部さんみたいな人は、変わろうにもこれしか出来ないでしょうし、またこれ以外をやる気もないだろうから、時代に咲いた徒花として、最後はドラッグで死んでいく人生となったのかも。で、そういう人がいた事に、ちょっと安心を覚える自分がいたりして。だって、「いつまでも安全保障条約でほかの国の軍隊が国のとどまっている国なって、どう考えたっておかしいだろ」という戦いをしていた人が、大学卒業したら外資系の企業に就職してスーツ着て通勤とか、何かが間違っているというか、なんだか寂しいじゃないですか。そんな中で、暗くまじめに苦悩して、文句しか言わなかったり引きこもったりしていないで自力で戦って、みんなが去ってもまだこういう事をやって…みたいな。そうそう、このCD、最後に阿部薫の肉声でのあいさつが入ってるんですが、これがまた硬派な劇団の役者みたいで雰囲気あるいい声してるんですよ。。

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プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
intoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
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