リー・コニッツは、ピアニスト作曲家のレニー・トリスターノからジャズや音楽を学んだ白人アルト・サックス奏者。
このアルバムは、49年と50年の合計3つのセッションを集めたもので、それぞれ編成や参加メンバーが少し違うんですが、
師匠のレニー・トリスターノと、ギターのビリー・バウアーが参加している点が特徴。そうそう、このアルバムって、『Subconscious-Lee』って名前で呼ばれる事がありますが、僕が持ってるLPだとアルバムの背表紙にそう書いてあるものの、ジャケット表にも裏にもそういう表記はないんですよね。。
サウンドはサブトーンを生かしたマイルドで涼しげな肌触りなんですが、アドリブが50年代後半からのハードバップ以降のジャズに慣れた耳からすると、ちょっと不思議な感じ。しかも
相当にテクニカルというか、メカニカルです。アルバム冒頭の「サブコンシャス・リー」は有名な曲ですが、これ、曲も演奏も面白いです。「Marshmallow」なんて、サウンドがサブトーンで涼しげだから心地よく聴いてしまいますが、しかし
40年代でこのアドリブはチャーリー・パーカーに匹敵するレベルじゃないでしょうか。ビバップもそうですが、40年代のジャズって、その前の古き良き優雅なジャズからアドリブがかなり高度になって、「え?これってどういうアプローチしてるんだ?」ってのがけっこうあるんですよね。
そして、
このアルバムで僕が一番好きなのが、アルバム最後に入っているギターとのデュオ「Rebecca」。あーもうこれはジャズなんて枠じゃない、きちんと近現代のクラシックも学んできた音楽家の作った音楽だ。。リー・コニッツは「ビジネスで音楽をやっていた」なんて言いきる人もいて、まあ確かにそういう一面もあったんでしょうが、こういう音楽を聴いてしまうと、とても商売なんて一面だけで語れるもんじゃない、真剣に音楽そのものと向き合っていた人だと思います。だってこれ、スウィング時代にこのアプローチはヤバすぎる。60年代や70年代でこれをやったとしても相当なもんだぞ。。
というわけで、ぱっと聴きはサブトーンを活かしてコード進行を奇麗に表現したウエストコースト・ジャズの先鞭となった人のようで、よく聴くと
パーカーとは別の角度からジャズのアドリブの可能性を開いた人だったんじゃないかと。いやーこれが1949年のジャズとは到底思えない、まるで秘密の実験を覗き見たようで、妙に興奮してしまいました(^^)。
ジャズを聴くなら避けて通れない1枚じゃないかと。
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