1曲目「ラウンド・ミッドナイト」からして息を呑むほど。グロッケンとヴァイオリンだけがユニゾンでイントロ、それが終わるとコントラバスのピチカートだけが鳴り響いてリー・コニッツのサックスがテーマメロを演奏、そのテーマをチェロが引きつぎ、Bパートから弦が重なり…アレンジがクラシック・アンサンブルばりの見事さなのです。しかも、音を分厚くせずに最小限で幾つものラインが重なっていくので、まるでポリフォニーのよう。アレンジってこういうものの事を言うんだよな、ジャズというジャンルでこれ以上のアレンジはなかなか聴けないです。 この素晴らしさは2曲目以降も続き、お世辞ではなくすべてが名曲、名アレンジ、名演でした。バロック期のコンチェルトのような3楽章制の「Music for Alto Saxophone and Strings」などなど、これはエンターテイメントではない芸術音楽といってよいのではないかと。