
クリント・イーストウッドの代表作である映画「ダーティー・ハリー」シリーズの劇音楽のアンソロジーCDです。映画の1・2・4からのセレクトというのは、ラロ・シフリンという音楽監督の音楽を集めたからじゃないかと思います。じゃ、3は違う作曲家なのかというと…知りません( ̄ー ̄)。
僕がラロ・シフリンという劇伴作曲家を知ったのは、
ブルース・リーの「燃えよドラゴン」の音楽が最初です。あれは燃えました(`・ω・´)!!しかしそれ以降、ラロ・シフリンという名前を目にする事は暫くなく、次にであったのが「ダーティー・ハリー」だった、という訳です。ダーティー・ハリーは大ヒットしてシリーズ化された犯罪映画ですが、とにかく1作目が凄かった!神父予告殺人、更に罪のない女を井戸に沈め、幼稚園バスもジャックする狂人・スコーピオンのイっちゃってる感じは、とても演技とは思えないほどのヤバさでした。で、この常軌を逸した連続殺人犯を追うのが、汚い手を使おうが法を犯そうが犯人を追いつめるハリー刑事。イーストウッドかマックイーンの為に用意されたような役です。。で、1作目の映画のオープニングが秀逸!不穏なストリングスのハイトーンに、「燃えよドラゴン」とまったく同じドラムのフィルが入り(いや、マジで同じです)、その直後にエレピのツーファイブ!メッチャ格好いい!!で、その背景ではやっぱり不穏なストリングス、そこにドラムのファンクなリズム、そしてエレキベースのスラッピングのソロ…こんな音楽を聴かされて燃えないわけがありません!!要するに、ストリングス・セクションは顔の見えない不敵な犯人とか犯罪を表現したパートで、それを切り裂くように食い込んでくるファンク・バンドのパートは、それをボッコボコにするダーティーなハリー刑事を表現したパートなんでしょうね。
このCDに入っている2曲目も秀逸。これ、狂人スコーピオンの不敵な犯罪と、それを追い込むハリー刑事みたいなシーンで使われていた異常に印象深い音楽ですが、構図は同じ。もの凄く不安をあおるのは、今度は調性だったり、歪ませ過ぎだろうと言いたくなるほどにファズのかかったエレキギターあたり。ついでに、ベースまでファズまみれです。これはメッチャいいわ。。逆にハリー側の追い込む感じは、突然食い込んでくるリズムと、一度始まるとどんどんアッチェルしていくテンポ。いやあ、これもメチャクチャかっこいい!!
70年代のハリウッド映画のサントラの一部って、クラシック・オケと当時流行のロックやファンクを融合した音楽を使うなんていうものが結構多いですよね。それ以前やそれ以降となると、そういうのって目立たないし、あってもあんまり面白くない。なんか「仕事です」ってものばかりで、全然冒険がないんですよね。冒険がないという事は、刺激的な部分が何もないという事でもあるわけで…。しかし、70年代は違います。この手の流れで想像しちゃうのは、ジャズのギル・エヴァンス・オーケストラとかです。ラロ・シフリンって、この辺りの流れで捉えても、まったく違和感がありません。僕が知っているラロ・シフリンの劇音楽って、「燃えよドラゴン」と「ダーティー・ハリー」だけですが、そのどちらもメチャメチャカッコいい!!で、他の活動として知っているのは、タンゴのアストル・ピアソラのストリングス・アレンジを担当したりとか、そういう非常に面白い創造的な仕事もしたりしています。ジャケットはダサすぎますが(^^)、おすすめの1枚です!
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