
ブラジルの女性シンガーの
アストラッド・ジルベルトが1967年に発表した5枚目のアルバムです。マジでアストラッドさんのアルバムと見れば何でもかんでも買ってたんだなあ。。
気持ちよくて、リラックスしていて、楽しくて、大好きなアルバムです。僕的にはアストラッドさんのアルバムでいちばん好きなのはこれ。といっても、世界ヒットアルバム
『Gets/Gilberto』から『Beach Samba』までのアルバムは、多少の好みの差はあれど、みんな好きなんですけどね(^^)。
少しだけブラジル色をまぶしたポップスといった体のアルバムで、それってアストラッド・ジルベルトの姿勢と一致しているんだろうな、と思ったりして。「少しだけブラジル色」というのは、サンバやボッサ特有のクラ-ヴェのリズムを使う曲がそれなりにあって、管弦のアレンジの仕方が当時のジョビンやジョアン・ジルベルトのアルバムのそれに似ているから、そう感じるのかも。「ポップスのアルバム」というのは、選曲にもあらわれてます。ブラジル系でルイス・ボンファやマルコス・ヴァリの曲、ジャズ系では
「My Foolish Heart」、ほかには映画の主題歌やなんとラヴィン・スプーンフルの曲なんかも。こういうアルバム構成の仕方はポップスそのものだと思うんですよね。昔は、ポップスってこういう構成をしていましたよね。アメリカだと
カーペンターズが、フランスだと
イブ・モンタンやフランス・ギャルが、日本でも
キャンディーズがアルバムでもコンサートでもそんな感じでしたし。
でもそれが日本のアイドル歌謡のようにならないのは、アレンジャーやプレイヤーが素晴らしいのだと思いました。だって、
アレンジャーはドン・セベスキーにエウミール・デオタードだし、プレイヤーはロン・カーターやヒューバート・ロウズですから。ある時代の日本の歌謡曲の作家みたいに、ビートルズ系の音楽しか作れない人たちではなくて、ジャズもサンバもマンボもポップスも書けて演奏できる人たちが作っていたから、ポップスのアルバムといってもこれだけ幅の広い音楽が出来るんですね。
作り手がプロフェッショナルである事は、このポップスが大人向けの音楽に仕上がっている事につながっている原因のひとつと感じました。だって、詞だけを考えても、「Misty Roses」や「My Foolish Heart」みたいな詞が子供向けじゃない事は間違いないじゃないですか。フィフティーズやロックといったアメリカのポップスが席巻する前は、ポップスも大人の音楽だったんですよね。だから僕が大人になった今でも、まったく自然に楽しむ事が出来ちゃう。音楽も言葉も、聴いているだけで人生を前向きに思えるようになってくるような、いいアルバムでした!
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