フォーレのピアノ四重奏曲をコンプリートしたCDで、ピアノは
マルグリット・ロン。伝説のフランス人女流ピアニストで、フォーレ、ラヴェル、ドビュッシーという人の曲を演奏し、色々な曲の初演ピアニストとしても名前を残しています。はじめてこのCDを見つけた時は、フォーレではなくマルグリット・ロンさん目当てで買ったのでした。だって、よもや録音が残ってるなんて思ってなかったもので。ピアノ四重奏曲第1番がパスキエ弦楽三重奏団との演奏で1956年録音、第2番がジャック・ティボー(vn)、モーリス・ヴィユー(vla)、ピエール・フルニエ(vcl) との演奏で1940年録音。
まず最初に
驚いたのは、録音の素晴らしさ。古いので、SP盤から起こした音源らしいんですが、モノラルなのに素晴らしいバランスと立体感!なんでモノなのに立体的に聴こえるんだろう、すごい。ただ、曲の最後が余韻が残っているうちにバチンと切れるのがちょっと残念でしたけどね(゚ω゚*)。
そして、演奏がうまい!ピアノも絶品、弦もどちらも素晴らしいじゃありませんか!古いものって、スポーツでもなんでも、「昔はこんなんで通用したのか」みたいに思ったりしませんか?昔のバレーボールや野球のビデオを見て、「こんなフォームでやってたのか、技術がまだまだ進化してなかったんだな」みたいに思ったり。ところが、クラシックの演奏家って古い録音でも素晴らしいものが多くて驚きます。ロン女史とパスキエ弦楽三重奏団の演奏なんて、こんな表現力豊かなうえにパーフェクトな演奏をしていたのかと驚いてしまいました。時代的に、編集はほとんどできないと思うんですが、それでこのレベルは神業じゃないでしょうか。
ただ、曲がちょっと優雅なロマン派みたいで、僕にはしっくりきませんでした。ピアノ四重奏曲第1番の完成は1879年、2番は86年という事で、1906年完成のピアノ五重奏曲よりも20年以上も前の作品。86年だとまだフランクの弦楽四重奏曲も
プシュケも出来てなかっただろうから、まだフランスはドイツ音楽の後塵を拝していて、まだ自分たちの文化的な気質を音楽に反映しきれていなかった時代と感じました。フォーレや
フランクって大好きな作曲家なんですが、活動晩年に来ないとまだ後期ロマン派のエピゴーネンという感じから抜けきらないんですよね(^^;)。
というわけで、僕的には戦前のクラシックの録音技術の凄さ、そして演奏家の演奏技術や表現御見事さに度胆を抜かれたCDでした。ヨーロッパのクラシック音楽は、20世紀初頭には技術も完成して洗練を極めていたという事なんじゃないかと。
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