『Anita O'Day / The Lady Is A Tramp』

AnitaOday_LadyIsaTramp.jpg ジャズの女性ヴォーカルって、古くなればなるほど、白人系と黒人系で大きな違いがあると思います。こういう分け方って「レイシスト」とか言われちゃいそうですが、しかし歌唱法とか、音楽で大事にしている部分とか、そういう所に具体的な違いがあるので、差別じゃなく区別という意味で、歴然と成立するんじゃないかと。僕は昔、白人系の女性ジャズ・ヴォーカルにハマった時期があります。中でも一番好きだったのがアニタ・オデイというヴォーカリスト。で、このアルバムは彼女のレコードの中でも一番好きなものです。

 これはジャズの歴史から考えないと分からない事なのかも知れませんが、今のジャズ・ヴォーカルって、比較的小編成のバンドを伴奏に歌うというものが多いと思います。しかし昔のジャズ・ヴォーカルって、ビッグバンドをオケにしたものが多いです。これって、もともとビッグバンドにヴォーカリストが招待されるという形が多くて、つまりジャズ・ヴォーカルはビッグバンドありきだった…という事なんじゃないかと。しかし、僕はギル・エヴァンスやジョージ・ラッセルというモダン・ビッグバンドを知るまでは、ジャズのビッグバンドがあまり好きではありませんでした。そうなると、必然的にビッグバンドが前提の古いジャズ・ヴォーカルは聴けなくなる事になります。で、このアルバムもビッグバンドをオケにしたヴォーカルものなんですが…これが素晴らしい!アニタ・オデイのヴォーカルが常にビッグ・バンドとコールアドレスポンス状態になっていて(これ、どこまでがアレンジなんだろうか…)、ビッグバンドがドッカンドッカンくるだけのアメリカ的な価値観なオケじゃなくって、かなりカッコいい事になってます。で、主役のヴォーカルがアドリブききまくりで、すごい歌ってる。白人ジャズヴォーカル独特の、ブレス多めの声の作り方とか、ジャズヴォーカルの醍醐味のアドリブフレーズとか、徐々にかけていくヴィブラートとか、本当に素晴らしいヴォーカルです。アニタ・オデイという人は好不調の波が激しいんですが、これは絶好調の部類に入るんじゃないでしょうか。曲もバラエティに富んでいて、1曲目の"ROCK'N ROLL BLUES"はかなり爽快!他にもバラードがあったり、曲種やアレンジもかなり多彩で、とてもよく練られたアルバムだと思います。

 このアルバム、「楽しむ」という事を徹底的に追及している感じで、いい意味でショウビズとしてのジャズの良さが全部出ている感じ。アニタ・オデイの最高傑作だと、僕は思っています。


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ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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