
先日、仕事で街に出たんですが、帰りがけにぶらりと本屋に寄って音楽雑誌のコーナーを眺め、『現代ギター』誌でジュリアン・ブリームの訃報を知りました。ひと月ほど前となる2020年8月14日に逝去されたそうです。この人の演奏はすごかったなあ。。
僕が、クラシック・ギターを凄いジャンルだと思い知ったのは、ジュリアン・ブリームさんと福田進一さんがきっかけでした。このふたりを知る前まで、僕にとってのクラシック・ギターの印象は、イエペス演奏の「禁じられた遊び」とか、セゴビアのバッハの演奏とか、そんな感じ。古色蒼然とした刺激の少ない保守的な音楽だと思ってたんですよね。でもって、知り合いのクラシック・ギタリストさんにそんな事を話すと、「クラシック・ギターを語るなら、最低でもジュリアン・ブリームや山下和仁を聴いてからにしなよ」と言われたんです。彼いわく、ブリームさんは表現力が抜群で、ここでクラシック・ギターの演奏が大きく変わったというほどのプレイヤーなんだそうで。
それでも、名盤ガイドに出ていたブリームさんのCDを聴いたところ、これがあまり面白くありませんでした。本当に感銘を受けたのは、何年も経ってから中古屋で何気なく手にしたライブ録音のCD。うわあ、すげえ…
僕が知っていたクラシック・ギターとは表現力が段違い。さらに、
クラシック・ギターって、いつまでもソルとかアグアドとかバッハとかみたいな曲を演奏している超保守的なジャンルかと思っていたら、近現代の曲がカッコよすぎたのです。超アヴァンギャルドもあればプログレみたいな曲も。自分が好きだったロックやジャズのギターが霞んでしまうほどの高い頂で、技巧を凝らした曲なんて、あまりの凄さに絶句しながら聴き入ってしまったのでした。その時に、
ギターは本来こういう風に演奏するべき楽器なんだと思い知らされました。コード弾くとかメロディ弾くなんて言うものじゃなくて、最初から一人多重奏をする構造をした楽器だったんですね。
ジュリアンさんと福田進一さん、そしてのちには山下和仁さんあたりの演奏から、僕はクラシック・ギターの演奏にドはまりして、自分でギターに挑戦したこともありました。ピアノよりも何倍も難しい楽器なので、いつまでたっても趣味の範囲を出ることが出来ないんですけどね(^^;)。それぐらいの衝撃を受けたプレイヤーさんの死は、やはりショック。そうそう、ブリームさんと接していたあるギタリストさんによると、「ブリームさんは緊張性で、コンサートの前はいつも顔面蒼白だった」「いつも酒臭かった」なんて話をしていました。あがるから酒で何とかしようとしていたのかも知れません。ついでに、ギター以上にリュートが凄まじい演奏で…
書き始めると、色んなことが思い出されてきりがありません。ご冥福をお祈りします。
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