
ジャズのテナー・サックス奏者の
ソニー・ロリンズが、1958年に発表したアルバムです。編成はピアノレスのトリオで、メンバーはオスカー・ペティフォード(b) にマックス・ローチ(dr) 。注目は、A面すべてを使った「フリーダム組曲」です!
57年までの典型的なハードバップ時代のロリンズさんのレコードで、僕が自分で買ったのは
『サキソフォン・コロッサス』と
『テナー・マッドネス』だけです。この2枚を聴いて、僕は「アドリブの教材としてはいいけど、音楽自体は曲がぜんぶ歌謡形式のポップス。聴いてられないわ」と思ってしまったのでした。以降、同じバンドにいた友人から何枚かCDを聴かせてもらったものの、やっぱりみんな同じ。これで、ハードバップ時代のロリンズから離れてしまったのです。ただ、ロリンズのアドリブはけっこう好きで、エンターテイメントな軽音楽じゃない事やってるのがあるなら聴いてみたいとは思ってたんです。そんな時に発見したのが、「組曲」なんて書いてあるこのアルバムでした。期待しましたねえ(^^)。
組曲自体は、基本は普通のジャズを並べて演奏しただけとも言えて、過度の期待は禁物(^^;)。でも、
組曲最初の主題がニュージャズ的だったり、同じモチーフをテンポを速くして展開させるとか、モチーフをベースに預けるなど構造に工夫が色々あって、これはなかなか。音楽への意識自体が変わったかな?少なくとも、同じような単純な曲をずっと演奏していた頃に比べると、格段の進歩ではないかと。オーセンティックなジャズを聴いていて退屈なのって、たいがい演奏よりも曲ですからね。
プレイにも明らかに変化がありした。
コルトレーンへの意識があったのか、前年までの16分音符&歌う演奏の組み合わせの大らかな演奏一辺倒ではなくなり、相当に速いパッセージや挑戦的なフレージングも出て来てます。アドリブ演奏って、作曲と違って、変えようと思ってもそう簡単に新しいものが身につくわけではないので、1年でこれぐらい変わったというのは、相当に意識して取り組んだのかも。B面冒頭の2曲のソロは、どう聴いてもサキコロやテナーマッドネスよりすごいです!
これはなかなかのアルバムでした。
ロリンズ作品中、アーティスト性の高い方のアルバムではないでしょうか。以降の僕は、ハードバップ時代のロリンズや、昔の名前で出ています的なアルバムには目もくれず、音楽的に挑戦してそうなアルバムだけを選んで買うようになったのでした(^^)。こういうアルバムがなかったら、ロリンズはアーティスト性の低い、ジャズの雇われプロプレイヤーで終わっていたはず。そういう意味でも、ロリンズのアルバムの中で重要な作品なんじゃないかと。
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