
1965年7月録音、
ソニー・ロリンズのインパルス録音の第1弾です。メンバーはレイ・ブライアント(p)、ウォルター・ブッカー(b)、ミッキー・ロッカー(dr) 。僕は、「おお、ロリンズがインパルスからレコードを出してるのか?!これはただのハードバップには収まらない意欲作かも知れないぞ」と思って買ったのでした。当時の僕は音大生、練習の時間を削ってこうやってレコードばかり聴いていたもんで、成績がヤバかったんですね(^^;)。。
このレコードでのロリンズは不思議でした。まず、サックスの音が良くないです。ピッチは悪いし、音は篭もって抜けずにボワンボワンしてます。そしてなにより、アルバムA面のアドリブが「ロリンズ、どうした?」って感じなのでした。
たとえば、1曲目の「グリーン・ドルフィン・ストリート」でのロリンズのアドリブ。「ブオー」って鳴らしてばかり、良し悪し以前にろくに演奏してないのです。もしかして、フリーをしたくてインパルスに入ったとか?でも、他のメンバーは普通にジャズを演奏していて、ぜんぜん噛み合わない…。2曲目「Everything happens to me」も、1曲目ほどではないにせよそういう所があって、ワントーンで「ブオ~」って吹いてるだけのところあり。ところで、僕はこのレコードを日本盤LPで持ってるんですが、解説を書いてるのは佐藤秀樹さんという人。1曲目の評が「男性的で逞しいソロラインは彼の好調さを遺憾なく発揮している」…絶対聴いてないな、こいつ(^^;)。。これだからレコード会社から金貰ってレビューを書くタイプの太鼓持ち評論家は信用できません。。
B面は50年代のロリンズっぽい演奏に戻ってましたが、でもやっぱりキレが足りない感じ。正直いって、バックのミッキー・ロッカーやウォルター・ブッカーに煽られてアップアップしているようにすら聴こえてしまいました(^^;)。
どういう事情があったんでしょうね、コードプログレッションに合わせてパラパラやるだけのアドリブから脱しようと模索していたのかも。だって、65年といったら、コルトレーンが『至上の愛』を、そしてマイルスが
『プラグド・ニッケル』を発表した年ですもんね。いまだにハードバップでアメリカン・ソングをアドリブで演奏しているだけではまずいと思ったのかも。そして皮肉な事に、ロリンズ以外は絶好調。このアルバム、さすがはインパルスだけあって、ロリンズだけに焦点を当てた編集はまったくしてなくて、カルテットとして全員の見せ場をノーカットで収録してるのですが、ブッカーさんのベースソロはいいし、レイ・ブライアントのピアノなんて、こんないいピアニストだったっけと思ったほど。単なるスランプじゃなくって、色々と思うところがあったのかも知れません。
- 関連記事
-
スポンサーサイト