
ザカフカス(南コーカサス)にある
アゼルバイジャン。このへんの地域は国を分けたのも納得というほど、近いのに文化がぜんぜん違います。例えば、
アルメニアはキリスト教なのに、
アゼルバイジャンはイスラム(しかもシーア派が多数。シーア派優勢の国って、
イランと
イラクとアゼルバイジャンぐらい?)。北には
ロシア人、西にはアルメニア人、南にはイラン人がいるというのに、
アゼルバイジャンはテュルク系のアゼルバイジャン人が多数…全然違う(^^;)。ちなみに、アゼルバイジャン人って、どうやって他の民族と区別するんだろう…なるほど、
アゼルバイジャン語という言語を持っているみたいです。
このCDは、にわとりマークで有名な民族音楽の超優秀レーベルVDE原盤で、アゼルバイジャンのムガームとアーシュクの音楽が入ってます。
アゼルバイジャンの伝統音楽は、ムガームとアーシュクの音楽のふたつに分かれ、どちらも職業音楽家が演奏するそうです。今の
アゼルバイジャンの伝統音楽は、北はムガーム、南はアーシュクが主流だそうです。
ムガームはアラビア音楽のマカームの事です。ムガームは今も祭りのときなどに使われて生き残っているそうな。このCDだと、後半の12~19曲目を演奏しているアリム・カーシモフの演奏がムガームみたい。

一方、このCDのタイトルにも入ってる
アーシュクは、放浪する吟遊詩人でヨーロッパのトゥルバドールのルーツ(!)みたい。おお~すごい、トゥルバドールの音楽って、
ルネサンス音楽より前ですよね。それが今も続いているのか。。
アーシュクは、サーズ(アゼルバイジャンではチョグールと呼ぶ)やタールなどの撥弦楽器の弾き語りをするのが普通で、歴史的な叙事詩や愛の歌などを、即興を交えて何時間も歌うんだそうです。おお、これは本当に吟遊詩人だわ。このCDだと、前半に演奏しているアリム・シモフのトリオと、エムラーン・ヘイダリの演奏がそうです。トリオの方は、ヴォーカルと撥弦楽器とタブラみたいな音がする打楽器のトリオ。ヘイダリはチョグールのスペシャリストでイラン出身。イランのチョグール奏者ではナンバーワンなんだそうです。バスと和音を弾きながら、上声部で旋律を弾くスタイルでした。う~ん、たしかにうまい。。
他に面白かったのは、歌唱です。この地方の音楽を聴いてると
「タハリール」という言葉をきくことがありますが、これはヨーデルみたいに地声と裏声を素早く入れ替える歌唱法。日本の歌だとまず使わない歌い方なので耳に残るんですが、これ、自分でやってみるとまるで出来ない(^^;)。。皆さん、ちょっとやってみてください。あまりに出来なくて笑っちゃうと思うので。。
民族は東のトルコ、南はイランに接するこの国の特徴が、もろに音楽に出てました(^^)。トルコもそうですが、このへんの地域に住んでるサーズ奏者って、どの人も異常にうまくてびっくりします。中東や西アフリカの民族音楽のプロ音楽家って、みんなとんでもないレベルです。。
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