
もう少し前の世代だとまた違うんでしょうが、70年代生まれの僕にとって、
筒美京平さんの曲を歌った歌手で一番しっくりくるのは、
郷ひろみと近藤真彦。男性アイドルです。ところが、青春時代がジャニーズタレント全盛期と丸かぶりながら、僕が男だったもんでジャニタレにはほぼ興味なし。当時の血気盛んな男の子が、トシちゃんやマッチより前田日明や
リッチー・ブラックモアをいいと感じてしまうのは仕方ないですよね(^^)。でも、ジャニーズの中でマッチだけは好きでした。「オレたちひょうきん族」での鶴太郎の全然似てないものまねが…じゃなくて、優等生ではなく、でも不良とも違っていいヤツっぽいところが好きで、もし同級生だったら友だちになりたいタイプ。これは近藤真彦さんのシングルを集めたベスト盤です。
初期の曲のいなたさがもろに筒美京平節、でもそれがまたいい!ピンクレディや大映ドラマや全日プロレスあたりに感じていた学芸会っぽさというかミーハーっぽさというかB級臭というか、そういう独特なチープな80年代文化独特の幸福感を感じます。その象徴が「ブルージーンズ・メモリー」や「スニーカーぶる~す」で聴くことのできる、まるで
昭和戦隊ヒーローものの主題歌ようなブラスセクション。この破壊力は聴いた人じゃないと分からない(^^)。
そして、音楽のいなたさと反比例するように妙に詞が良いアンバランスさも魅力でした。
「5分だけでもいいから俺の話を聞いてよ、別れの電話取り消せよ」(スニーカーぶる~す)
「俺には分からないよ、お前がなぜガラスの都会へと旅立つのか」(ブルージーンズ・メモリー) こういう詞に、ちょっとだけはみ出した思春期の少年の危うさを感じました。チェッカーズもそうですが、子供から大人へと変化する狭間に苦悩する少年の心情って、作られた詩と分かっていても共感できるものがありましたねえ。
というわけで、マッチのイメージは初期の筒美京平曲なんですが、個人的に好きな楽曲は申し訳ないけど他の作曲家。
山下達郎さんが書いた最も達郎さんらしくない曲「ハイティーン・ブギ」、
来生たかおさんと同じぐらい好きな昭和末期の歌謡作家・織田哲郎さんの傑作「Baby Rose」、そして鈴木キサブロー「夢絆」の3曲です。特に「Baby Rose」は曲も詞も最高。
どうしてそんなに冷たく出来るの、突然のさよならさ
足早に去っていこうとしたお前を車に押し込めて 音はどの曲も中域が妙に膨らんでモコモコでボケボケ。ジャニーズのアイドル歌謡も、SMAP あたりまで来ると音楽系のスタッフがちゃんとしていましたが、トシちゃんやマッチの頃は素人くさいんですよね(^^)。アイドル全盛期の80年代のテレビ音楽文化って独特の楽しさがありましたが、このアルバムはあの時代のあの楽しい雰囲気が詰まってる感じでした。マッチはシングルさえ聴ければOKという僕みたいな人なら、これさえあればいいんじゃないかと。そして…やっぱり、僕にとっての筒美京平のイメージはマッチと郷ひろみなんだな。。
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