アニタ・オデイ 、ヴァーブ移籍後6枚目のアルバム、1958年発表です。僕が持っているのはボーナストラック9曲入りのCDです。しかもこのボーナス、別テイクじゃなくてすべて別曲。これは嬉しい(^^)。
アニタ・オデイってアルバムごとに顔が変わるし、場合によっては髪の色まで変わってしまうもんで、ものによっては「え?これもアニタ・オデイなの?」というものもあったりして。そんな僕にとってのアニタ・オデイの本当の姿は映画『真夏の夜のジャズ』で観たあれだと思ってるんですが、そんなアニタ・オデイの姿にいちばん近いジャケットがこれ。ついでに、
イブニング・グローブの美しさもあって、アニタ・オデイのアルバムジャケット私的第1位はこれです! な~んて音楽以外の事をいっぱい書いてしまいましたが、このアルバム、伴奏はビッグバンドで、オケはすべて同じメンバー、アレンジ&指揮が半分マーティ・ペイチ、もう半分がラッセル・ガルシアでした。
50年代中後半のアニタ・デイのアルバムは傑作ぞろいですが、このアルバムも良かったです!アニタ・オデイはヴォーカルもいいしスキャットも見事!とくに
スキャットの炸裂具合は50年代後半のアニタ・オデイ黄金時代のアルバムの中でもずば抜けて素晴らしくて、実際にスキャットパートを入れた曲もいっぱい収録 されていました。マイルス作曲の「Four」は完全にスキャットのアドリブを聞かせる曲に仕上がっていて、他にも「Sing, Sing, Sing」もスキャットが実に見事!
表現も見事で、
「マイ・ファニー・バレンタイン」の歌唱なんて、女性ジャズ・ヴォーカルの教科書にしていいんじゃないか というほどに色んな技巧が入っていて、しかもそれがテクニックのためのテクニックじゃなくて、きちんと歌になっているのが素晴らしかったです。ちょっとアフター気味で歌うのもいいなあ。ただ、持っていってもいいところで持っていけないのはこのタメにある気もしましたが、でもこのタメがエレガントさも出しているとも感じます。歌って、なかなか難しいですね(^^;)。
そして、オケ。ビッグバンドのアレンジは良いし、バンドはうまいし、そして58年とは思えないほど録音がいい!50年代は合衆国の軽音楽にとって最良の時期だったと思えてなりません。軽音楽が幼稚なものばかりじゃなくて、大人向けのいいものが普通にあったんですよね。うらやましい時代です。
50年代後半、ヴァーヴに移籍してからしばらくのアニタ・オデイのレコードは外れが無いです。バランスがいいものとなれば
『Pick Yourself Up』 か
『The Lady is a Tramp』 、ピアノ伴奏なら『Anita Sings the Most』、そしてビッグバンド伴奏や見事なスキャットを聴きたいならこのアルバム。少しずつ違うのも良かったです…アニタさんにはずいぶん散財させられたけど、お金なんて使わないといけないものだし、こんなに気持ちを明るくしてくれるものに使ったなら何の不満も無いですね、考えてみたら。
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