ウズベキスタンの南西にしてアフガニスタンの北東、カスピ海の東端に面した国・トルクメニスタンの音楽のCDです。ニワトリマークでおなじみ、ジュネーブ民族音楽博物館のレーベルVDEのCDで、1988~90年の録音でした。音楽専従者の演奏する音楽があるトルコやイランの音楽のレベルの高さは尋常じゃないですが、
トルクメニスタンの音楽はトルコとイランの音楽の中間のようで、レベルもやっぱり段違いに高かった!!いやあ、これはすげえわ。。
まず、タイトルになってる
「バフシ Bakhshy」とは何かというと、歌手という意味が一番強くて、音楽家、語り部、な~んて意味になる事もあるんだそうです。昔はこれにシャーマン的な意味も入っていたとの事で、つまり音楽自体がシャーマニズム的な意味合いを持っていた時代もあったという事なのかな?
トルクメンで構成された
トルクメニスタンの音楽は、ほとんどがヴォーカル・ミュージックなんだそうです。しかもアラビア色が強い音楽なのに打楽器がいないのも特徴。こう聴くと、地域的にも遠くない
モンゴルのオルティン・ドーみたいな声優位の音楽を想像しちゃうじゃないですか。ところがどっこい、イランやトルコなみに楽器の演奏が超絶にうまいんですよ。それは伴奏なんていうレベルじゃなくて、器楽独奏として聴いても超絶レベル。
最低10年の修行と100曲をマスターしないとバフシとして認められないそうで、それだけのものあありました。クラシックやモダン・ジャズを聴きなれた人ですら「うおお、これはすげえっ!」て思っちゃうレベルじゃないかと。だいたい1曲目からしてインストでしたし。

そして、その器楽部分。
メインに聴こえるのは2弦の細竿の撥弦楽器ドゥタール(CDのジャケットに写ってる楽器)。これにギジャク(膝の上に立てて演奏するフィドル族の楽器)が加わるものが多く、曲によってはガルギー・チュイデュク(長い縦笛)、ディッリ・チュイデュク(小型のリード笛)、コプズ(口琴)が加わるものもありました。1曲目のドゥタールの演奏なんて、どう聴いたってダストガーかマカームを使った音楽にしか聴こえないもので、これはマジで高度な器楽。すげえ。
収録曲。トルクメニンに伝わる伝統曲のオンパレードみたいで、作者不詳とか、トルクメンで有名な詩人マフトゥムクリ・フラギ作の愛の歌などなど。このCDには19曲が収録されていましたが、このCDを聴けば本当にトククメンの伝統曲をけっこう知る事が出来るんじゃないかと思いました。
いやあ、南アジア~中央アジア~西アジアにかけての音楽専従者が演奏する音楽はどれも本当にすごいです。西洋音楽がどうしてもスコア重視になりがちなのに対して、もっと身体性が強いというか、楽器と体が一体になってる感じ。素晴らしい達人技の数々でした!
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