地味に感じた印象の原因はたぶん2つで、ひとつミックス、ひとつは選曲です。まずミックスですが、以降に出されたワイタ島ライブの音源より明らかにプロっぽいミックスで音はすごくいいんですが、問題はバランス。演奏中はオーディエンスマイクを全部オフ、それぞれの楽器はかなりオン、ドラムは小さめ。だから、それぞれの楽器の音は良い気がするし、演奏も個々で聴くと素晴らしいんだけど、バンド全体がグワッと鳴ってこないんです。「ステージが広くてモニター返しが悪くて、慎重に演奏してるのかな?」な~んて思ってしまうほど。これは楽器同士のバランスを間違えたミックスが悪いんじゃないだろうか。もっとドラムを出そうぜ、みたいな。 もうひとつは、選曲が地味なこと。6曲しか入ってない短さもマイナスに感じたのかも知れません。でもこれは、死んだ翌年に出されたアルバムという所を考えると、意味が分かった気がしました。だって、6曲のうち3曲がスタジオ盤未収録曲ですから、リリース時にまだ知られていなかった曲をなるべく出そうという計らいだったんじゃないかと(のちに『The Cry of Love』なんかに収録されてリリースされた)。もし自分の好きなアーティストが死んで、その追悼ライブ盤が出て、その半分が未発表曲だったら、素晴らしい選曲と感じると思うんですよね。だから、このレコードの価値はリリースされた当時と今ではちょっと違うんだと思います。
というわけで、ジミヘン最後のライブは、いつも売ろうと思って「最後に一回」みたいに聴くんですが、決して悪くないもんだから、ずっと売るのを踏みとどまっている状態(^^;)。でも、ジミヘンのライブ盤だと他にもっといいものがあるから、やっぱり手放そうかな…いや、このアルバムじゃないと「All Along the Watchtower」や「In From the storm」や「Midnight Lightning」や「Freedom」のトリオ演奏ライブは聴けないし、ジャケットがLPだとメッチャかっこいいんだよな…な~んて思って、またしても手放せそうにないのでした(^^;)。いいや、死ぬまで持ってよう。
(from 1970.8.31 the Isle of Wight Festival) ・Midnight Lightning ・Foxy Lady ・Lover Man ・Freedom ・All Along the Watchtower ・In from the Storm