『T-BONE WALKER』

TBoneWalker.jpg オーティス・ラッシュにハウンド・ドッグ・テイラーと、ふたつ続けて書いたブルースマンは、どちらかというと「暑苦しい」系。戦後のバンドブルースって、僕にとってはこの「暑苦しい」系の印象が強かったのですが、その印象はこのTボーン・ウォーカーを聴く事で打ち砕かれました。歌も、簡単に叫んじゃったりする事はなく、はっきり言って美声。抑揚も、古いジャズ・シンガーみたいな歌い方をします。ギターも、実に洗練した演奏をします。このレコードですが、邦題で「モダン・ブルース・ギターの父」なんていうタイトルがついているのですが、これは内容を的確に言い当てていると思います。

 タネを明かすと、他のブルースとは、実際に使っているコードとか、コード進行に当てている代理進行とかが違うんですよね。ムズカシイ話にしてしまうのは好きではないので簡単に言うと、例えばコードでいうと9thとか6thなんていうエクステンションを加えてきます。で、暑苦しい系のブルースだと、こういうコードは使わない。なぜ使わないかというと、趣味で使わないんじゃなくって、多分知らないんですよ。しかし、こういうコードを使えるというのは、Tボーンという人、実は少しだけジャズの素養があったんじゃないかと。ただし、旋律はペンタトニックから外れる事はほとんどないので、じゃあジャズが演奏できるのかというと、そこまでは行けていないのかも。9thとか6thというコードって、サウンドが複雑になって、感覚でいえばマイルドになるんです。それは、モダンに聴こえて当然なんですよね。こういうサウンドは、エリック・クラプトンなんかも使う時があるので、洗練されたシティバンド・ブルースのルーツにあるのは、このティーボーン・ウォーカーさんなんじゃないかと思っています。2曲目の"Mean Old World" なんて、モダンブルースを演奏する人で、この曲を知らない人なんていないんじゃないかというぐらいの大名曲。詞の世界観も素晴らしいし、イントロのギターの和声進行なんて、当時のブルース・ギタリストに衝撃を与えたんじゃないかと想像します。

 僕にとってのバンドブルースの印象が180度変わった名ミュージシャンです。大人になってしまうと、ブルースなんて子供っぽくて演奏する気になれないんですが、こういう音楽であれば付き合いたい。非常にレイドバックして洗練されたサウンドで、大人のためのブルースといえるんじゃないかと。美しくて、少し切なくて、大好きな音楽です。


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Bach Bach

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ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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