
これも
ドビュッシー&ラヴェルの弦楽四重奏曲のカップリングCDですが、さらに
フォーレの四重奏曲も演奏してました。ジャケットがモダンでカッコいいですが、それもそのはず演奏はエベーヌ四重奏団。
エベーヌ四重奏団はフランスの弦カルで、クラシック以外にもジャズや他の音楽にも取り組んだりしています。このCDは2008年録音。ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲に関しては
カルミナQのところで感想を書いたので割愛。フォーレの四重奏曲は…実は、
エラートからリリースされたフォーレのピアノ三重奏曲と弦楽四重奏曲のカップリングCDで、僕はエベーヌQのフォーレ弦楽四重奏曲を聴いてるんです。そちらも2008年録音で、レーベルも同じエラートというわけで、多分同じ録音なのでこれも割愛。
おおーすげえ、演奏が躍動してる!持っていってほしい所でグワーッと来ます!ドビュッシーの4楽章なんて、他のQでここまで激しく演奏したものは聴いたことがないです、すげえ。ラヴェルの1楽章もとにかく一音一音にこれでもかと表情をつけていて、ペタッと演奏している所がないです。過剰と感じる人もいるかもしれないけど、大量にあるこの曲の演奏を、今までと同じ方向でより奇麗に演奏したところで、新たに録音する意義なんてほとんどないですもんね。90年代以降のクラシックって、こういう意識をもって大きく動かそうとするアンサンブルやオケが増えて、すごく好きです。
ただ、4人のバランスが悪い…。とくに、ファースト・ヴァイオリンの音量が大きすぎて、対メロが対メロとして聴こえなかったり、和弦になったところの響きが美しく聴こえなかったりしてました。弦カルCDあるあるですが、フォーレの4楽章なんて、ファーストとチェロが7に対してセカンドとヴィオラは3ぐらいの音量なんじゃないでしょうか。ファーストが種戦のところはそれでもいいかもしれませんが、常にこんな感じなんですよ。これはアンサンブルさせる意識が弱い事と、録音がヘタクソなことのふたつなんでしょうね。。そんなわけで、4人がバトンタッチして弾くところとかはバランスの悪さが仇となってスコアの良さがかなり見えにくかったりして。こういうのを聴くと、地味に感じていたラサールQの演奏は、アンサンブルとして実に考え抜かれた演奏だったんだな、と思ったりして。。
まあでも21世紀のクラシック録音だしプレイヤーもまだ若いので、「既成概念をぶっ壊してやる」ぐらいの気概を感じて気持ち良かったです。やっぱり90年代以降のクラシックのプレイヤーはマジでうまい、個人技に関してはレベルが実に他界と感じます。エベーヌ四重奏団は1999年の結成ですが、
クロノス・カルテット以降、こういうアンサンブルって増えましたが、それが「売れたい」という軟弱なポップ嗜好やライト・クラシック方面に行くととんでもなくカッコ悪いけど、こういう実力があるグループが冴えた事をやると凄くカッコよく感じます。金持ちが聴く教養主義としてのクラシックなんてどんどんぶっ壊して、躍動するクラシックを奏でていって欲しいです。もしクラシックの人がそこを目指したら、ロックやジャズなんて足元にも及ばない事が出来るんですから(^^)。
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