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『ドビュッシー、ラヴェル:弦楽四重奏曲 アルバン・ベルク四重奏団』

Debussy Ravel_StringQ_AlbanBergQ ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲のカップリングCD、最後はアルバン・ベルク・カルテットの演奏です。今までの印象ではこれが一番いいと思っていたもんで、聴くのを最後にとっておいたんですが、本当にそうでした。しかもダントツの素晴らしさ。

 ラサールQカルミナQは素晴らしいんだけどなんとなく上品すぎるというかおとなしい、エベーヌQは元気があって勢いが凄いけどアンサンブルが美しくない気がしたんです。ところがアルバン・ベルクQはアンサンブルは美しいし演奏は勢いがある!!圧倒的じゃないか。というわけで、久々に聴いたんですが、最初の3分を聴いた時点で、ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲はこの録音だけでいいと思ってしまいました(^^)。このCDの弦4本の縦線の揃い方、全員そろってのクレッシェンドのカーブの合い方、くんずほぐれつのバランス、本当に非の打ち所がないほどに素晴らしかったです。たぶん、解釈も統一して、納得いくまで入念にリハーサルして、録音でももっとよく出来るところはテイクを何回も録って、編集もミックスもスコアを見ながら徹底的にやったんじゃないかと。

 思う事は、制作に対する本気度というか入念さ。それはプレイヤーやアンサンブルだけでなく、録音スタッフなんかも含めてのことです。クラシックのCDってロックやポップスほど売れないじゃないですか。さらに大戦後は資本主義国家の愚民政策が功を奏して、そもそも文学やクラシックを理解できない人も理解しようとすらしない人も増えたし、教養ある人ですら普通にスターウォーズやアニメを見て哲学書もクラシックもまるで読まなくなったエコノミック・アニマルと化してしまったもんだから、絶滅危惧種となったように思うのです。それに合わせるように、クラシックのレーベルも出版社も、ついでに政治家も市民も金を優先して考えるようになっちゃったんですね、きっと。自分たちの国や自分たちの所属する集団の得だけしか考えない人が多いのでなかったら、なんで日本の総理大臣やアメリカの大統領にああいう人が選ばれるのか、理解できません。今の資本主義社会の影のボスは経済界なんですよね。

 例えば、エベーヌQみたいな世界で一位を取るような弦カルが「ファーストヴァイオリンばっかり大きいな」という事に気づかないはずがないです。ところが、セカンドのピチカートが完全にマスキングされちゃうぐらいバランスが悪くてもそれでオーケーにしてリリースしちゃっているわけです。音楽を優先して考えたらそんな選択はあり得ないけど、そうする理由は、予算とかスケジュールとか、音楽以外の理由じゃないでしょうか。こういう所がプロじゃないと思うんですよね。戦後に生まれた色んな有名弦カルで、ディレクターや録音スタッフを含めてどこまで実力差があるのか分かりませんが、やればこのCDに近づく演奏も録音もできると思うんですよ。録音なんだから失敗したらテイク2を録音して挿せばいいし、バランスも納得いくまでとればいいと思うんですよ。それをやったのがアルバン・ベルクQとEMIの録音チームで(このCDはもともとEMIリリースでした)、やらなかったのが例えばエベーヌQとERATOの録音チームだったと思います。この差って、演奏技術や解釈の差ではなくて、入念な準備や、良いものを作るという執念の違いじゃないでしょうか。

 今回、ドビュッシーとラヴェルの弦楽四重奏曲を聴いて、アルバン・ベルク四重奏団とEMIのチームのプロ意識の高さに感銘を受けました。考えてみれば、ベルクの2曲の弦楽四重奏曲でも、バルトークの6曲の弦楽四重奏曲でも、僕はまったく同じように、アルバン・ベルクQとEMIのチームに感動させられてきた気がします。アルバン・ベルクQとEMIのチームの録音は、音が太くてカッコいい反面ちょっとくらいところが難かも…と思わなくもないんですが、でも徹底的に完成までもっていくそのプロフェッショナリズムの前では、その程度の趣味嗜好なんてあまりに小さな問題。プロというのは専門分野で飯を食っている人の事や、技術力が高い人の事だけじゃなくて、自分の専門分野で妥協なしに事に当たるメンタリティの事でもあるのではないかと思わされました。これは素晴らしい、推薦です!

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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