fc2ブログ

心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『プーランク:歌曲集 デュポス(s)、カシュマイユ(br)、ロジェ(pf)』

Poulenc_Kakyokushuu_Roge.jpg 昔、ある貧乏な劇団の音楽を担当した事がありまして、これがギャラは安いわ人使いは荒いわで大変でした。でもいい事もありまして、「プーランクみたいな歌曲を作ってくれませんか?」と言われ、これで僕はプーランクの歌曲を知る事になったのです。そして買ったのがこのCDだったんですが…うわああああ美しい!!これぞサティやドビュッシーラヴェルの流れを汲んだ印象派歌曲、淡い水彩画のような美しい音楽だったのです。プーランクは歌曲でいちばん才能を発揮するんじゃないか…このCDを聴いた瞬間に、はじめてプーランクの本当の才能を知った気がしました。通俗的な小さな歌の中に、クラシックのエスプリを叩き込んでくる感じ。和声も進行も、今のどれもこれも似たものの大量生産とは大違い、とてもクリエイティブでした。

 このCDに入っているのはピアノ伴奏で1曲2~3分の小さな曲ばかりだし、アポリネールあたりの詩人が作った詩を歌化したものも多いもので、クラシックというよりシャンソンに近く感じました。たぶん、当時のキャバレーやシャンソンバーあたりで聴かせていたんじゃないかと思うんですが、庶民ですら文化レベルが今の「1に経済、自分の意見を通すためなら大統領も総理大臣も嘘も隠蔽も何でもあり」な世界とはぜんぜん違います。クルト・ワイルも似たような事をしていますし、ダミアエディト・ピアフみたいなどちらかというとしょう音楽に近いシャンソンですら、今の英米型の大量生産品と違ってクオリティが段違いに高いです。バルバラやジュリエット・グレコになると言わずもがな。そんなわけで、歴史的に見て歌のレベルが極端に高かった20世紀初頭のパリでも、プーランク歌曲はその最高峰だったんではないでしょうか。サラッと管弦楽を書いちゃうレベルの人に歌曲を作られてしまうんじゃ、他の作曲家はたまったものじゃないですね(^^;)。テンポもデュナーミクも、今のクリックのような固定テンポの大衆音楽とは段違い、和声も比較にならないほどバリエーション豊かです。もしふたつの大戦がアメリカではなくフランス大勝利だったとしたら、少なくとも歌音楽だけは今の何十倍も良いものになったんでしょうね。

 今の日本だと、自分で探さないと聴く事の出来ない種類の歌です。でも、一度聴きさえすれば、ジャズが好きな人もロックが好きな人もきっとみんな「スバラシイ!今までワタシが聴いてた歌ってなんだったんだ」って思うんじゃないかなあ、なんせ僕がそうでしたし(^^)。今の歌謡音楽と同じぐらい聴きやすく、それでいて創造力や作曲技術が段違いに高い歌曲です。超おススメ!

関連記事
スポンサーサイト




Comments

06 2023 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

月別アーカイブ
検索フォーム
これまでの訪問者数
最近気になってるCDとか本とか映画とか
ロシアとウクライナがほぼ戦争状態に入りましたが、僕はソ連解体後のウクライナについて本当に無知…。これは2016年にオリバー・ストーン監督が作ったウクライナのドキュメンタリー映画。日本語字幕版が出たらぜひ観たい このブログをYoutube にアップしようか迷い中。するなら作業効率としては早いほど良いんですよね。。その時にはVOICEROIDに話してもらおうかと思ってるけど、誰の声がいいのか考え中
アド
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS