
OCORA原盤の、ギニア音楽のCDです。ちなみにこのCD、日本のキングレコードが「世界民族音楽集成」というシリーズの48巻として出しています。表から見たジャケットが違うのでぜんぜん分からないんですが、まったく同じものなので気をつけましょう!
ギニアは西アフリカにある西端が大西洋に接する旧フランス植民地で、中央アフリカの赤道ギニアじゃないです。このCDは、ギニアの中でもギニア東部と
マリにまたがるあたりにある
ワッソロン地方という所の音楽でした。これが、
カルチャーショックを覚えるほどの凄さ!鳥肌が止まりませんでした。これはすごいよ… 1曲目から死ぬほどカッコいい!!カバサみたいな振りもののパーカッションの音、カリンバみたいな音、ブラジルのビリンバウみたいな音、恐らく歌ってる人がついでに叩いているだろうこうした
弱音打楽器が折り重なってポリリズムを作り上げ、その上にものすごい高速でラップのように言葉が叩き込まれます。これがコール&レスポンス状に続いて徐々に大きなうねりとなり、ある所まで高揚したところでいきなり合唱!いや~これはすごい、鳥肌が立ってしまったよ。ちなみにこの1曲目はソッソ王国の伝説の英雄スマングル・カンテに捧げられた詠唱だそうで。ソッソ王国をネットで調べてみたんですが…うおお、13世紀じゃないか?!すげえ、生きた歴史の教科書じゃないか…。
以降も集団で演奏される怒涛の叙事的音楽が続きます。2曲目のヴォーカリゼーションも強烈、その後ろの合唱がまた強烈にカッコいい。3曲目の、全体でストリンジェンドしていく様もすごい。こんなの、そのへんの付け焼刃で作ったようなロックやポップスでは足元にも及ばないではないか。西アフリカって
呪術師をはじめとしたプロ音楽家がいたり、打楽器群の音楽が世界最強レベルだったり、ヴォーカリゼーションがこれまたとんでもないレベルだったりしますが、このCDを聴いてその思いをまた強くしてしまいました。

ちなみに、このCDの驚異の前半部分は、ギニア東部とマリにまたがるあたりに住んでいる
ワッソロン地方という所の音楽で、ここの人は叙事詩を演奏し歌い踊る事から、「ジェリ」とか「ジェリの猟師」なんて呼ばれてるそうで。彼らは職業分業制社会を形成していて、職業技術や呪術に長けていないとその社会の構成員になれないんだそうで。なるほど、全員とんでもない音楽能力を持ってる理由はそれか。。
こういう構造をした音楽って、僕の知っている音楽の中だとフリージャズの一部にありますが、フリージャズって、60年代にフランス経由でアフリカ公演を大々的に行った時期があるんですよね。ACTUELというレーベルは、その時の録音をいっぱい出してますが、なるほどあれはアフリカに渡って逆に影響されまくって帰ってきたんだな。。いや~とんでもないカルチャーショックを受けてしまいました。同じジャンルのCDばかり聴いてるのはやっぱりダメですね。それって、似たようなものをちょっとだけ変えて大量に消費させ続ける資本主義の押し売りに嵌められた生活だと僕は思ってて、若い頃の僕もまさにそういう状態だったんですが、やっぱり自分の知らない所にも飛び込んでいった方が良いですね。このCDを聴いている60分間、ずっと背筋がゾクゾクして止まらない状態でした。これは今年の私的名盤ナンバーワン候補か?!しかし…アマゾンだと手に入らねえ!アマゾンって、大量消費財になってるレコード以外は本当に手に入れにくいんですよね(> <)。
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