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詩集『悪の華』 ボードレール著、堀口大學訳

Aku no Hana_Baudelaire_HoriguchiDaigaku 「巴里の憂鬱」は散文ぎみの詩集でしたが、「悪の華」はまさに詩集。というわけで、ボードレール唯一の詩集「悪の華」です!僕はランボーでフランス詩に大ハマりして、さかのぼる形でこの詩集に辿り着きました。「悪の華」というタイトルも若い頃にロック魂をくすぐられて好きでしたしね( ̄ー ̄)。

 「巴里の憂鬱」の感想にもちょっと書きましたが、僕にはボードレールやランボーやマラルメが「サンボリスト(象徴派)」と言われる意味がよく分かってません。でも、象徴派と言われている詩人が書く詩には好きなものが多いです。少なくともロマン派詩や叙事詩よりずっと好き。その特徴が何かと言われると、あまり描写的ではなくて、私自身に関わる抽象化された問題(たとえば死とか)を言葉で表現している事かも。たとえば「悪の華」収録の詩でいえば、「憂鬱と理想」の章の超有名な詩77番「憂鬱」の一節などがそうです。

 われは、雨国の王者と、似たり

 で、時としてその言葉が象徴を用いるから「サンボリスム」なのかな、なんて思ったりして。象徴という事は何かの具象を使ってそれそのものでない何かを語るわけですが、その例として、「秋の歌」などでは…

 誰が為の棺ぞ?きのふ夏なりき、さるを今し秋!
 この神秘めく物音は、何やらん、出発のごとくひびく。


 みたいな。でも僕にとって重要なのは、そうした象徴の使い方という詩的技巧ではなく、それで言い当てているものに共感を覚えるのですよね。ランボーほどではないけど、ボードレールの視点もやっぱり凄く好きです。だって、「俺はまるで雨ばかり降る国の王のようだ」って、問題が宇宙でも神話でもなく、「私」なり「人間がどういうわけか抱えている苦悩」だったり「科学なり人文なりが進むにしたがっていつの間にか分からなくなってしまった人間にとっての正しい道」だったりするわけで、それってもろに現代的な問題じゃないですか。だから好きです。それを「誰のための棺だ」とか「雨ばかり降る国の王」と表現するそのセンスがカッコイイ!

 というわけで、ランボーの「地獄の季節」や「イルミナシオン」ほどではないにせよ、「悪の華」は僕が好きな詩集のひとつです。ちょっとタイトルがガキくさいけど(^^;)、でもこういう刺激的なタイトルじゃなかったら若い頃に手に取ってなかった気もするし、悩める青年時代に読むことが出来て良かった詩だと思います。これも実存主義の苦悩の中にある文学群のひとつなんでしょうね。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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