
キングレコードが1971年に現地録音してきた東アフリカはエチオピアの音楽です。解説が小泉文夫さんだったので、小泉さんの研究班が行ったのかな?
エジプトとかエチオピアって、アフリカ大陸ではあるけどアラビア半島が近いし、なんとなく黒人社会という気がしません。実際に、
黒人とアラビア人の混血が一番多いらしくて、民族も政治的に優勢なアムハラ族が多数派というわけでもない多民族国家。
宗教もなんと6割がキリスト教系で(エチオピア正教会。CDの解説にはコプト教とも書いてあったけど、エチオピア正教会とコプト教は違うのかな?分かんないや^^;)、イスラム3割なんだそうです。
さて、
このCDに入っていた音楽は、大きく分けて3種類。ひとつは大道芸人の音楽、ひとつは祭りのときの舞踊音楽の合唱、もうひとつは教会系の音楽でした。
まずは、
大道芸人の弾き語り、これは3曲入ってました。
マシンクォという1弦の擦弦楽器を弾きながら歌っているものは、プリミティブでなかなか怪しい感じ。他には、キラールという聴いた感じは月琴みたいな音のする楽器の弾き語りも入ってましたが、これもあまりテクニカルじゃなくてガシャガシャひっかきまわして怪しい感じ。
祭りの音楽は、人が大勢集まって輪になって踊ったり歌ったりするものでした。こういうものは
ゼフェンというそうで、手拍子とコール&レスポンスの合唱でした。これも、高度なコール&レスポンスというより、みんなでガヤガヤやってる感じ。
エチオピア正教会系の音楽は、色々入ってました。
まずは
讃美歌、これは無伴奏でユニゾンなので、けっこう原始的に感じました。
次に、
聖歌。これは僕が想像しちゃう西ヨーロッパの讃美歌でも
ロシアやウクライナの正教会の見事な合唱でもなく、
まるで仏教の読経。25分ぐらいずっと読経してましたが(フェードインしていたので、本当はもっと長いんだと思います)、古代のジャングルの奥地で神聖な儀式が執り行われてるみたいな雰囲気、壮観で驚きました。

あと、
皇帝が来て儀式を行う時の模様もすごかった!手拍子しながらアフリカ系の低音の皮物の打楽器がドコドコいって、ガヤガヤみんなで歌うアフリカの部落の祭りみたいな感じなんですが
、ものすごい人数でウワーってなってて圧倒されました。5万人ぐらい入る野球場やサッカー場で地鳴りするような歓声が上がる時があるじゃないですか、あんな迫力がずっと波状攻撃のように続いてました。これはすごい!
印象だけでいうと、大道芸人の音楽はプリミティブなアフリカ黒人音楽という感じ。後から作られただろう讃美歌は多分ヨーロッパのキリスト教音楽ともアフリカ音楽とも関係ない感じのシンプルなもの。そして教会音楽はキリスト教なんだろうけど、そこで使ってる音楽は仏教音楽のようで、荘厳で神秘的、何より人数がものすごい感じで、圧倒されました。いやあ、この教会音楽は他ではちょっと聴けない音楽、ものすごい体験をしてしまった。。音楽を聴いたというより、まったく知らない土地で、ものすごい人数で行っている宗教的な儀礼に参加してしまった感覚です。すごいわ…。
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