新実徳英さんの作品、続いてはこんな録音を。このシリーズ、昔にタワーレコードで発見して即買いしたんですが、オーケストラ作品が入っているというのに、なんと定価で1000円!リスナーとしては嬉しい限りでしたが、こんな事やってたら作曲家やプレイヤーが食えなくなるのも当たり前ではないか、な~んて思ったんですが、旧譜からセレクトした編集盤でした。収録曲は、以下の通りでした。
・交響曲第2番 オーケストラと混声合唱のための
・アルジラ ―夢の時間 二十弦箏とチェロのための
交響曲2番。静謐に始まって、とんでもないフォルテッシモまでたどり着くクライマックス音楽、これは熱い!チェレスタの使い方は完全に
銀河鉄道999…じゃなかった、
バルトークでしたけどね(^^;)。いいと思ったのは、クライマックス音楽を志向したところ(新実さんはどの作品もけっこうそう)と、冒頭の提示部。弦の美しすぎる和音と、変拍子を持つメロディのヘテロフォニーが交換されて導入部を作り、この構造が全体に波及していく感じでしたが、この導入部は素晴らしかったです(^^)。一方でイマイチと思ったのは、エクスタシーに登っていく全体構造があまりに直線過ぎて単純な事と、サウンドがやっぱり耳なじみのある普通の和音すぎて、どちらも単純すぎるかな、みたいな。響きに関しては、もしかすると「アジア的」みたいな所にこだわってそうなるのかも知れません。
アルジラ。アルジラとは、オーストラリア原住民が持っている概念で、命が宿り、また帰っていく場所の事だそうです。冒頭は箏もチェロもハーモニクスだけで演奏するので不安定でフワッフワ、これにやっぱりヘテロフォニーな繰り返しながら変化していく箏のアルペジオが対比されながら、徐々に盛り上がっていく感じでした。新見さんのチェロ曲というと、独奏曲で凄まじいものがあるんですが、それに比べるともうひと声だったかな?チェロソロに関しては、明日また書こうと思います。
ふだんの生活で耳に入ってくる音楽って、ロックとかポップスとかジャズとか劇伴音楽とか、そういうのが多いじゃないですか。ほとんどの人は音楽に期待しているわけでもないだろうし、それで事足りると思うんですが、ちょっと深く入って行くと、同じもののバリエーション違いばかりで物足りなくなってきて、知らない所に手を出してみたくなったり。ところが、軽音楽だとマニアックっぽい名前がついた新しいジャンルが出ても、いざ聴いてみると同じものを細分化しただけで、日常耳に入ってくる音楽と大して変わらなかったり。ところが、たまにクラシックに戻ってくると、日常で耳にする音楽の外にある音楽が普通にあるのがいいです。このCDも、冒頭の構造部分はそういう感覚で「おおっ!」と思いました。でも、ヘテロフォニー部分は良いんだけどサウンドや直線的な全体構造がかなり単純なので、そこは工夫が必要なのかも知れないと感じました。このCDに入っていた曲は2曲ともシンプルな和音を選択していましたがが、音列技法あたりを用いて独特な和音や旋律をくみ上げてそれをヘテロフォニーさせたら、面白い事になったりするのかな?でもそこまで突っ込むなら人に期待していちゃダメで、自分で作曲すべきですよね。。
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