
ノンサッチのワールド・ミュージック部門エクスプローラー・シリーズのカタログの中のひとつです。このシリーズは昔ワーナーが日本語解説をつけた輸入盤を出していた事がありまして、そのサブタイトルは『ボスニア=ヘルツェゴヴィナ、クロアチア、マケドニアの歌と踊り』でした。ブルガリア、アルバニア、ギリシャなどなど、バルカン半島の国々の音楽はどれも間違いなく面白いですが、政情不安定な地域だったからか、昔は聴くのがなかなか大変でした。というわけで、中古屋で見つけた時は「おお、ボスニアの現地録音盤があるのか?!」と狂喜乱舞、即買いでした(^^)。1968年の現地録音、6つの村で採録したものでした。
ボスニア=ヘルツェゴビナ、クロアチア、マケドニアの音楽と言っても、このCDに入っているのはすべてクロアチア人の音楽でした。タイトル通り
ヴィレッジ・ミュージックといった感じで、プロの音楽家ではなく村人が演奏している風で、ほとんどがフォーク・ダンスか民謡風の音楽でした。
いちばん多く入っていたのがフォークダンス風の音楽。伴奏楽器はギター、マンドリン、フィドルで、この上でみんなでワイワイうたいます。盛り上がって叫ぶ人も(^^)。これは楽しそう、村の祭りとかで踊るんだろうな。エキゾチックに感じる曲想はなく、ブルガリアのような複雑な変拍子などもありませんでした。これはクロアチアが比較的西ヨーロッパに近いからかも。
民謡は、無伴奏合唱はハーモニーがバルカン風。マケドニアや
アルバニアが近いですし、こういうハーモニーはスラヴ民族共通なのかも知れないと思いました。歌の節のつけ方に
ブルガリアン・ヴォイスに共通するものも感じました。独唱となると、もうこれは田舎の民謡といった感じで、こうなるとヨーロッパもアジアもなくて、「あ、民謡だな」みたいな。おばあちゃんが歌っているようで、聴いていてホッコリしました(^^)。
唯一、西アジアというか
ギリシャというか
トルコというか、あちら方面の音楽を感じさせるものがありました。バレル・ドラム系の打楽器の伴奏に、ダブル・リード系の楽器が2本で演奏するもの。リード楽器のうち1本はドローンとして使っているので、バグパイプのようにも聴こえました。これがかなりカッコいいインスト音楽、東ヨーロッパの国にはどこもこういう
トルコの軍楽的な音楽が残ってますが、こういうのを聴くとオスマンの影響力って本当に強かったんだな、と感じます。
『Folklore from Croatia | tamburica orchestra veritas』よりもこっちのCDの方がリアルなフォルクローレっぽく感じました。冷戦下のヨーロッパの火薬庫での録音、これは貴重じゃないかと!
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