
フレンチ・バロックの大家
ラモー、現在から見るとどうしても作曲技法面での評価が強くなるのか、僕は音大でチェンバロ曲を推奨されました。実際にラモーは音楽の理論書を書くぐらいの学究肌でもあったみたいですしね。でもラモー本人が夢中で書いたのはオペラだったそうです。このへんは、バロックというヨーロッパの文化様相を知らないと、本当には理解できない所かも知れません。音楽だけでなく美術や建築も含めたバロックの本、一度読んでみたいなあ。というわけで、オペラがらみのラモーの作品を聴いてみたいと思っていたところで出会ったのがこのCDでした。とはいっても、オペラ用に書いた曲を編曲して作った組曲なんですけどね(^^;)。
オルガン奏者、理論家として各地を転々として生きていたラモーが、初めてオペラを書いたのが50歳の時、パリでのことだったそうです。以降は終生オペラを書き続けたそうですが、そんな
ラモーのオペラ処女作が『イポリトとアリシ』。ギリシャ神話に題材を取ったものです。そういえば、
ウルトラマンAにヒッポリト星人というのが出てきましたが、イポリトのスペルが「Hippolyte」なんですよね。このオペラの中で、
イポリトは妃と不倫をしてネプチューンの怒りを買い、怪物に殺されます。ヒッポリトめ、やはりろくでなしだったか。。
ガヴォット、メヌエット、行進曲、リトルネッロ、シャコンヌなどなど、色んなスタイルの音楽が出てくる音楽でした。印象だけで言うと、曲ごとにキャラクターは違うのに、どれも優雅に感じる事。あーこれは貴族向けに作られたオペラなのかも知れません。
そんな中、個人的に面白いと思ったのは、大衆の音楽から拾ったと思えたものと、宗教音楽っぽいもの。第3幕のメヌエットやタンブランはピッコロで楽しげに奏でられていましたが、こういうのって当時のフランスの大衆音楽あるいはトルヴェールの音楽がこうだったんじゃないかと思ったりして、聴いていて楽しかったです。
あと、宗教音楽っぽいものは、優雅さの中にも静謐なものがあってすごく好き。第5幕のサンフォニーとか、いいなあ。
バロックきっての理論家らしい面を感じたところもありました。いくつかあったカノンはさすがは一流!カノンって、いざ書いてみると3声ぐらいが限界で、かなりゴシャゴシャになっちゃうんですよね(^^;)。それがこれだけ整除して書けてしまうというのは、ルネサンスからバロックにかけての作曲家ってメチャクチャ頭が良かったんだろうな、と思ってしまいます。
というわけで、恐らくこのオペラや音楽の肝になっていない所ばかりに耳が行ってしまった僕でした(^^;)>。それって、僕が宮廷よりの貴族文化なフランス音楽があまり好きじゃないんでしょうね。というわけで、完璧な音楽だとは思いましたが、21世紀の東アジアに住んでいる庶民の僕には、雰囲気は楽しめても、深い所では同調できない音楽かも。あ、でも、本当にすごい完成度の音楽でした。
- 関連記事
-
スポンサーサイト