
プロレスラーの
アントニオ猪木が現役を引退した時に出版された猪木名言集です。猪木さんのキャリア・ハイは日本プロレス出戻りの時期から、新日本プロレス立ち上げ、格闘技世界一決定戦あたりまででしょうが、その時代の猪木をリアルタイムで見ていた男子にとって、猪木はプロレスのみならずあらゆるジャンルでのスーパースターに見えていたのではないかと思います。友達の年の離れたお兄さんが「
クラスの男子で猪木のファンじゃない奴なんていない」なんて言っていたので、長嶋茂雄クラスだったんでしょうね。ショーとしてのプロレスが形骸化していく中で、総合格闘技に繋がるプロレスへの道を切り開いた人…みたいな。
もう成人してプロレスも見なくなったころ、「猪木も引退か、青春のひとつが終わった気分だな」なんて何となく買った本だったのですが、よもやプロレス本に感銘を受けるとは思っても見ませんでした。この本に書いてあった言葉が今も自分の人生に生きてると思えるほどです。
人を楽しませるエンターテイナー猪木の言葉じゃなくて、絶望の淵を歩いた現代人の言葉なのです。育てた後輩たちから見捨てられ、自分が作った会社から追放され、想像もできないほどの負債を抱えて自殺を考え…そういう世界を観たプロ&事業主の言葉でした。これは
プロレス好きが読む本じゃなくて、社会に出て辛い壁にぶち当たっている人こそ読む本じゃないかと。
というわけで、心に残って言葉を、備忘録として残しておこうかと。
・金の価値なんてものは、しょせん人間の欲望の果てにあるものであり、人間が生きてい行く根本ではない。
・みんないろいろな物差しを持っているけど、
同一の自分の物差しでしか他人のことを見れないやつは悲しいよね。
・本当に革命を始める人間は
口だけじゃダメだ。自分が身をもってやらなければ何も変わらない。思い切った一歩を踏み出す勇気もなく、目先の勝ち負けにこだわっていては何も変わらない。
・
人間の誇りや尊厳は、誰かが無条件で保障してくれるものでも、守ってくれるものでも、断じてない。今の日本人はそのことをすっかり忘れてしまっている。
・レスラーの夢がいまだにキャデラックに豪邸じゃ寂しすぎる。これからのヒーローは、ズタズタになって、いろんなものを引きずりながら、必死になって歩いていく、そんな生き方が出来る人じゃないか。
・
死に際して、やり残したものがあったり、悔いがあって、もっと生きたいというような生き方を、俺はしたくない。
・俺にもどうしても好きになれない人間がいる。しかし、その人間がどういう情報を与えてくれるか、その人間を一度飲み込まなければ、それは得られない。人を飲み込むこのとのできる器というのは、人を包み込める大きさがなければできない。
・本当に自分が追い込まれて、世間から叩かれた時に、本気で自分の支持に回ってくれる人。信じてくれる人が何人いるか。一生で5人もいないですよ。
何にもまして、死を意識した上での人生観であるように感じます。その上でどう生きるか、これらの言葉はそういう事なんだと思います。成功者の言葉ではなく、頂点にも立ったけどどん底にも落ちて、自殺まで考えるほどの苦難の連続だった人の言葉に感じました。苦しい人は、もしかするとこの本が本当に救いになるかも。辛い人は、馬鹿にしないで読んでみてください。前を向けるようになるかもしれませんよ!
- 関連記事
-
スポンサーサイト
プロレスラーアントニオ猪木が凄いのは、プロレスの中にその生き様を見せたことか?
いや、生き様さえも彼が作り上げた嘘か?
とにかく凄い!