『阿部薫 / またの日の夢物語』

AbeKaoru_Matanohino.jpg 前の記事で書いた「ラストデイト」が凄まじ過ぎて、以降は阿部薫さんの音源は手に入る限りは手に入れてむさぼるように聴こうと思ったのですが…手に入らない。生前も、ライブでもお客さんなんて数人しか来ないし、またレコードも数100枚ぐらいしかプレスされなかったらしくって、プレミアどころか見る事すらできない状態でした。そんな時に発売されたのが、このCDでした。以降、阿部薫さんの音源は次々とCD化されたのですが、独奏のものではこれがベストの演奏だと思いました。

 阿部さんの死の直前の演奏である「ラストデイト」は、本当に音が少ないというか、まったくの無音の時間(とはいっても、0か1かではなくって、呼吸とか、次の音への間の測り方とか、そういう音になっていない所はすごく感じるんですが)が結構あったのに対し、こちらはすごい吹きまくっています。もう、溢れ出てくるものがどんどん音になる感じ。ああ、なるほど、ここから始まったんだな…という感じがします。バスクラリネットの独奏もいいんですが、しかしやっぱり、アルトの歌い方がちょっと半端でない。音の立ち上がりから畳み掛けるようなフレージング、アーティキュレーション…すべてが素晴らしい。音で何を実現するのか、これが明確だし、徹底しているんでしょうね。「ジャズ」という様式の上に成り立っている海外のフリージャズとはまったく違う位置に成立している、本当に自分そのものを音化したような音楽です。これを音楽と呼ぶのも違うんじゃないかというような、強烈な行為。もう、僕程度の人間では、分かったよな口をきいて語ること自体がおこがましいような、見事な音楽です。こういうものに触れてしまうと、ポピュラーを聴くのなんて、てんで馬鹿らしく思えてきてしまいます。


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Bach Bach

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神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです(ノ^-^)ノ
音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。
プロでも評論家でもありませんので、たいした事は書けないかも知れませんが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!! レコ芸に載っていた近藤譲さんの新譜、室内楽作品集みたい。好きな作曲家なんで聴きたいんですが、持っている2枚のALM盤と4曲かぶってるので悩み中…
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