
邦楽でカッコいいのは
尺八と
琵琶、楽しいのは小唄端唄と
浄瑠璃、芸術的なのが
能楽だと思っています。これは金春惣右衛門さん(能楽の太鼓のひと)と増田正造さんが監修した能楽のCDで、ビクター邦楽名曲選というシリーズの第2集です。能って、ひとつの演目で普通に1時間半とかあるけど、その中で使われている曲のダイジェストでした。
能楽の音楽部分は、囃子方と地謡(じうたい)に分かれます。うち、8人で斉唱する
地謡はシテ方(主役の集団)に属していているからかも知れませんが、
このCDは囃子方だけ収録されていました。そして、
囃子方は、大鼓、小鼓、笛、太鼓に分かれていて、太鼓はいる演目といない演目がありました。
いや~かっこいいです、これはしびれました(^^)。能楽って、大鼓と小鼓が、それぞれ打つ前に「イヨ~」と言ってから打つじゃないですか。あれがいいなあ(^^)。その前で吹きまくる笛もいいですが、あれってインプロヴィゼーションなんですかね。それとも型があるのかなあ。能って、新作能を除いたら、今では230曲ほどがスタンダードと曲が決まっているらしいので、舞台をする前に合わせを1回するだけだそうです。ところがとてもそうとは思えないシンクロ具合でした。たとえば、このCDの4曲目「獅子」なんて、自在にアッチェルして、いきなりア・テンポになったりするんですよ!これを合わせ一回で決めるとか、凄すぎます。
そして、このCDの解説で勉強になった事。
「能楽の小鼓の音はポンではなくてポであると言われる」…なるほど~。能を観に行った時、小鼓の人がしきりに指をペロッと舐めて鼓の皮を撫でていたのですが、大鼓は湿ってないと駄目で、小鼓は湿気がないと駄目だそうです。それでこの音なのか、う~ん深いなあ。
「シャギリ」。これは
狂言の一曲の終わりで、和気あいあいと飛び回るところで、この短い笛の一節が登場するんだそうです。なるほど~。。
「盤渉楽」(ばんしきがく)。
能楽で「楽」というと中国の物語がほとんどで、だから音楽も雅楽に似た旋律が多いそうです。盤渉楽はその変奏法で、途中で一音高い調子に変化して、また途中で序破急の泣かれが出てくるんだそうで。
「獅子」は、歌舞伎にも取り入れられた名曲で、能楽の秘曲のひとつだそうです。さっきも書いたけど、これはアンサンブルを崩さないままテンポが変化していって、すごくカッコよかった!
「鈴の段」は、
「翁」(能楽で特別な演目)での神的行事のフィナーレ曲。どんどんテンポが速くなっていくのがカッコいい!!
「延年ノ舞」(えんねんのまい)。
もっとも一般的な能楽の舞の形式がこの曲だそうです。ライナーの解説が分かりにくかったんですが、歌舞伎の人気演目「勧進帳」の元ネタとなった能の「安宅」のなかの「男舞」の変奏…という事なのかな?
「音取」(ねとり)。
能の特殊な囃子事のひとつで、翁付や老女物の能などで、一曲の始まりに際して笛を奏するものだそうです。
これは素晴らしい!40代後半になってCDを買う事がめっきり減りましたが、買うCDの比率でいちばん高いのが純邦楽になっている気がします。純邦楽、メッチャいいです。。
- 関連記事
-
スポンサーサイト