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Category: CD・レコード > サントラ etc.   Tags: ---

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『乱 オリジナル・サウンドトラック 武満徹傑作選』

Ran_SoundTrack.jpg 映画音楽だろうが何だろうが、武満徹さんのCDとあらば目に入るものから買っていた時期があります。これは黒澤明監督の映画「乱」のサウンドトラックで、勢いで手にした1枚でした。

 買った当時、「武満さんの作品ではじめて外した」と思いました。理由は、武満徹さんである必要がまったくない音楽だったから。武満さんと言えば、初期の50年代ヨーロッパ前衛を取り込んだ作風とか、日本音楽の間や5音音階を取り込んだ前衛と日本音楽のアウフヘーベンみたいな音楽、と思っていました。こういう創造的な創作態度を映画音楽にも感じたことがあって、「心中天の網島」のサントラなんて鳥肌もので絶品。ところがこのサントラ、なんと普通の機能和声…お仕事モードなのかなあ…。尊敬する武満さんにこういう真似をして欲しくなかった…というのが、若い頃にきいた時の感想でした。

 久々に聴いて思った事は、音楽に関しては同じ。ただ、他の事も感じました。武満さんは学歴のない人なので(音大の受験に行って、試験を受けずに帰ってきた話は有名)、クラシック界から援助を受けて活動する事が難しい人だったんですよね。若い頃は演奏会も自主公演、そんな武満さんが硬派な作曲活動を続けられた経済的支えとなったのが、映画音楽の作曲。というわけで、ある程度は監督のオーダーをきかないと、そもそも武満さんの硬派な音楽の創作自体が無理だったのかもしれません。

 そう考えると、黒澤監督の気風に思いが行きました。「台本を読んで、あなたのイメージでベストの音楽を作ってくれ」という人ではなく、「○○みたいな音楽にしてくれ」というオーダーをする人だったらしいんですよね。「世界のクロサワ」なんて言いますが、文芸作を撮る事があるにせよ、あくまで東宝勤務の撮影所監督です。こういう権力を持った人って、政治家でも部活の監督でも、お山の大将で上から目線な人になりがちじゃないですか。実際のところ、黒澤さんは作曲家に「ベートーヴェンの第9みたいに」とか「ワイルのあの曲みたいに」みたいな形でオーダーしたそうです。ハイドンがオラトリオ「四季」を書いた時に、台本作家から音楽の注文をあれこれつけられて憤慨した話は有名ですが、まあそれと似た事をやっていたわけですよね。もしかして武満さん、黒澤監督のオーダーに対し、慇懃無礼にそのまま音にして返したのかも(・ω・)。

 とまあ、色々思うところはありましたが、でもこれは武満作品より先に黒澤作品ですから、こうなっても仕方ないのかも。このCD、12ページフルカラーマット厚紙ブックレットだったりして、作りがすごくしっかりしてます。さすが世界のクロサワ&武満のCD、作る前から売れる事が予想できたんでしょうね。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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