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Category: CD・レコード > クラシック   Tags: ---

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『ケージ:鍵盤楽器のための音楽1935~1948 カースティン(piano)』

Cage_Kenbangakki no tameno ongaku 1935-1948_Curstin 曲が始まってから終わるまで楽器の音が1回も鳴らない「4分33秒」で有名な、アメリカ実験音楽の巨匠(または異端児)ジョン・ケージですが、カウエルやシェーンベルクに師事するという実に恵まれた作曲家だったことはあまり知られてないかも。そして、ヨーロッパ留学中は建築を学んで、絵画や詩作にも精を出したそうで、なるほどこれらが融合したら、たしかにああいう音楽が生まれるかも知れないとも思えますし、逆に音楽馬鹿だったら、ああいう音楽は作らなかったんじゃないかと。

 さて、これはケージのピアノ作品集で、演奏はジュリアード音楽院を出たアメリカ人ピアニストのジーン・カースティンです。ケージというと「偶然性の音楽」とか、音が一切ならない音楽とか、とっても難解(または人を食った?)なものを想像してしまうかも知れませんが、実際にこういうCDを聴くと狙いはかなりシンプルだったんだろうなと。「メタモルフォーシス」はシェーンベルクから教わった音列技法を使った習作そのものですし、「バッカナール」「トスト・アズ・イット・イズ・アントラブルド」「季節はずれのヴァレンタイン」あたりはプリペアド・ピアノの作品ですが、作曲技法は簡単なパターンとその構造化なので、実は構造がすごく分かりやすく、デタラメとか偶然性とか、そんなふうには聴こえないです。音楽も、「マルセル・デュシャンのための音楽」あたりは童謡みたいに単純ですし、「夢」なんて子供が書いたピアノ曲みたいにすごく純朴で素敵な曲。純音楽として何か追求したというよりも、ピアノをプリペアドしてみたり、自分が思った通りの事を何でも試して、色んな曲を書いてみたかっただけなんじゃないかなあ、単純に聴いていて楽しいです(^^)。

 ケージ以降、プリペアド・ピアノを用いた作品として、クラムのマクロコスモスとか、完成度の高い作品が書かれるようになりました。それに比べるとケージの作品はまだ黎明期特有のシンプルなもので、聴きやすいし分かりやすいです。僕にしてみれば、ケージにかこつけてでたらめな音楽をやって芸術家気取りな人も好きじゃないし、コムズカシイ理屈をつけてケージを語っちゃう批評家さんはもっと違うと思っちゃったりするんですよね(^^;)。『ソナタとインターリュード』以前のケージって、単に新しい音を使って音楽を楽しみたかっただけだったんじゃないかと。このCDを聴く限り、ケージさんが音でそう語っているようにしか思えない僕なのでした(^^)。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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