味はあるけど歌や演奏はうまいものではないものが多いボサノヴァというジャンルで、これほど歌や演奏がうまいバンドを聴いたことがありませんでした。いやあ、これはすごいだろ…。しかもそれが技術披露大会にならずに詩情あふれる見事な表現をしていました。なんと内省的な音楽か、これは美しい。。 音符を埋めすぎず空間を広く取って、見事なアレンジで美しいアンサンブルを生み出していました。プレイヤー4人が本物のプロ。ヴォーカルはヴィブラートをかけず抑揚をつけませんが、これはアストラッド・ジルベルト以降のボッサの伝統というやつで、しかしアストラッドさんより確実にうまい。プレイヤーさんたちは表現する技術があって、歌心があって、でもボッサ特有のエスプレッシーヴォになりすぎない控えめの詩情を崩さず、アンサンブルさせる能力があって、そしてずっとメゾピアノでささやくような音楽を奏で続け…。僕が今まで聴いてきた坂本龍一さんの音楽で一番素晴らしいと思ったのは、このアルバムかも。6曲目「Sabia」のイントロなんて完全に印象派、「Falando de Amor」でのアフター気味のリズムなんて、ジョビンの音楽への愛を感じる表現でした。これはクラシックをベースに、即興音楽もポップスのスタジオ・ミュージシャンもやってきた坂本さんのキャリアが見事に生かされた音楽ではないかと。。
冒頭の文章ですけど、名前が逆になっています。チェリストのジャキス・モレレンバウム、その奥さんでヴォーカリストのパウラ・モレレンバウムが正解ですね。
細かい揚げ足取りみたいなコメントすいません。まだ訂正されていませんでしたので、つい・・・。