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『Morelenbaum², Sakamoto / Live in Tokyo 2001』

Morelenbaum Sakamoto Live in Tokyo 2001 チェリストのジャケス・モレレンバウム、その奥さんでヴォーカリストのパウラ・モレレンバウム、ピアノの坂本龍一、この3人のボサノヴァ・ユニットMorelenbaum² / Sakamoto のライブ・アルバムです。このCDではボッサの「ンッ・チャッ・ンチャッ」というギターも入っての4人編成。全15曲中13曲がアントニオ・カルロス・ジョビンの曲だったので、ジョビンのトリビュート・バンドだったのかな?

 味はあるけど歌や演奏はうまいものではないものが多いボサノヴァというジャンルで、これほど歌や演奏がうまいバンドを聴いたことがありませんでした。いやあ、これはすごいだろ…。しかもそれが技術披露大会にならずに詩情あふれる見事な表現をしていました。なんと内省的な音楽か、これは美しい。。
 音符を埋めすぎず空間を広く取って、見事なアレンジで美しいアンサンブルを生み出していました。プレイヤー4人が本物のプロ。ヴォーカルはヴィブラートをかけず抑揚をつけませんが、これはアストラッド・ジルベルト以降のボッサの伝統というやつで、しかしアストラッドさんより確実にうまい。プレイヤーさんたちは表現する技術があって、歌心があって、でもボッサ特有のエスプレッシーヴォになりすぎない控えめの詩情を崩さず、アンサンブルさせる能力があって、そしてずっとメゾピアノでささやくような音楽を奏で続け…。僕が今まで聴いてきた坂本龍一さんの音楽で一番素晴らしいと思ったのは、このアルバムかも。6曲目「Sabia」のイントロなんて完全に印象派、「Falando de Amor」でのアフター気味のリズムなんて、ジョビンの音楽への愛を感じる表現でした。これはクラシックをベースに、即興音楽もポップスのスタジオ・ミュージシャンもやってきた坂本さんのキャリアが見事に生かされた音楽ではないかと。。

 ジョビンの音楽を聴いていて優れていると感じるのは、何をやったかという所です。作曲家としてもアレンジャーとしてもピアニストとしても、たしかにプロとは思うけどそれはあくまでポピュラー音楽の範囲の話で、他の作曲家アレンジャーより格別優れているとは思わないんですよね。でも、ドビュッシーやラヴェルを含めたヨーロッパ音楽と、ブラジルのネイティブな音楽の両方を見つめて、両方を止揚して「今のブラジル音楽」を作ったその構想は本当に素晴らしいと思うのです。だって、日本のネイティブな音楽と西洋音楽を止揚して、その国の国民が「これが自分たちの国の音楽だ」と思えるほどのものを作り上げた日本の音楽って、かつてはあったけど現代にはまるでないじゃないですか。それを作ろうとしても、僕はイメージすらできないですが、ブラジルだってそうだったと思うんですよね。それをこうして提示できたという所が、ジョビンの縛らしいところだったんじゃないかと。元々こういうスタイルを作ったのはカルトーラかもしれないし、またブラジル音楽独特の詩的世界を作り上げたのはヴィニシウス・ジ・モラエスがいたからかも知れませんが、でもボサノヴァをここまでの音楽にしたのは、どう考えてもジョビンとジョアン・ジルベルトのふたりの力が大きかったと思うんですよね。

 ジョビンのボッサは、初期のバーデン・パウエルなんかとは違って、ブラジルのポップスとフォークのあいの子だったと思うんですが、このアンサンブルがやった事って、ジョビンの音楽を室内楽レベルにまで引き上げたことなんじゃないかと。職業ミュージシャン坂本龍一の企画ものユニットだと思って舐めちゃいけない、素晴らしい音楽でした!

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Comments
 
こんにちは。ご無沙汰しております。
冒頭の文章ですけど、名前が逆になっています。チェリストのジャキス・モレレンバウム、その奥さんでヴォーカリストのパウラ・モレレンバウムが正解ですね。

細かい揚げ足取りみたいなコメントすいません。まだ訂正されていませんでしたので、つい・・・。
Re: タイトルなし 
ころんさん、書き込みありがとうございます!

あらら、恥ずかしい(^^;)。ご指摘あ、ありがとうございました!あとで修正させていただきます。

暑い日が続きますね。夏バテに注意してくださいね!

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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