
1976年発表、
中島みゆきさんのデビューアルバムです。76年というと、僕はまだウルトラマンや
仮面ライダーに夢中になっていた年齢なので、このアルバムを聴いたのはもちろんリリースからずっと後でした。これを聴かせてくれたのも友達のお姉さんで、ダ〇ングのダ〇〇グというすさまじく悪い音のものがうちに残ってます(^^;)。良いも悪いもまったく分からず、「大きくなったらこういう音楽をよいと感じるようになるのかなあ」ぐらいの感覚で聴いていました。
ベースにあるのはフォークギター弾き語り、これに簡単なバンドアレンジが施してある、みたいな。詩は戦後の日本歌謡音楽と比べるとちょっとした短編の物語、つまりフォークですね(^^)。要するに
ボブ・ディランあたりの影響を引きずってるという事なのかも。でも実際の近代の短編小説って、ギンズバーグにしてもアーヴィングにしてもブコウスキーにしても、もっと人間の深いところをえぐってくるじゃないですか。ボブ・ディランの詩もそれに近いというか。そういうのに比べると、やっぱりあくまでラジオでちょっと聴いて楽しむ歌謡曲だったんだな、みたいな。当たり前ですね(^^;)。
曲はシンプルでしたが、だいたい曲のどこかにちょっとだけ仕掛けがしてあって、このほんの少しがいい味を出していました。たとえば「あぶな坂」でいえば、イントロのアルペジオが、ボブ・ディラン以降のフォークだったら大体「1585」みたいに弾きそうなところを、「1575」みたいに長7度を挟んだりして、本当にこれだけで曲の雰囲気が短7を使うブルースでも3や5が強いフォークでもなく聴こえてくる、みたいな。
長7に関して言えば、この長調曲のトニックでの長7度の気持ちよさは中島さんのお気に入りみたいで、「渚便り」という曲の歌メロの最初の音も長7度(平歌のメロの音の使い方はM7-9-8-5という順位使って解決させている)で、メロの最初の音に長7を持ってくるのはポップスだとけっこう珍しいんじゃないかなあ。このセンスがいい思いました。そうそう、
このアルバムで僕がいい曲だなあと感じたのは、この「渚便り」でした。
中島みゆきさんてフォークから始まった人だと思っていたんですが、デビューアルバムからすでにフォークと歌謡曲の間ぐらいだったんだな、と思いました。まあこれは中島さんというよりレコード会社の方針だったのかも。そうそう、中島みゆきさんが好きだけでアルバムまで聴くほどまで入っていないという人にとって、この
アルバムを買うメリットのひとつに、超有名曲「時代」が、あの大げさなオケじゃなくてフォークギターのみのアレンジなんですよ。これが素敵で、シングルのあの演出過多で思わず笑っちゃうオケよりこっちの方が全然良いと思うなあ。
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私は、、、実はファンなんです(笑)
きっかけは私もアルバム4枚位を120分テープにダビングしたものをもらったから。うん、すごく聴きました