僕の場合は、ジョン・コルトレーンとかオーネット・コールマンという王道のフリージャズを聴き始めてしばらくしてから、このレコードに出会いました。最初は、ジャケットのインパクトにやられました。カッコ良すぎるだろ、これ…。そして、ターンテーブルに乗せてレコードを聴き始めて…唖然。なんという世界観、それまで500や600ではきかないぐらいの量のレコードを聴いてきたつもりだったんですが、いかに自分の音楽観というものが狭量なものであったのかを思い知らされました。 まず、一曲目。いきなり、コブラの出てきそうなダブルリード系の音がする楽器での演奏(クレジットによれば、パキスタンのオーボエだそうで)!また、他の演奏者も、ほとんどジャズの匂いを残さない演奏。これはカッコいいわ。。2曲目もやはり民族音楽的なんですが、今度は同じフレーズを呪術的に繰り返し、かなりドロドロした世界。曲タイトルは…"dance of satan"か、なるほど…。A面はこんな具合で、ものすごくデーモニッシュな原始宗教のような世界観がグッチャグチャに繰り広げられていきます。そして、ここの演奏自体はフリージャズというだけあってめっちゃくちゃフリーなんですが、しかし楽曲構成はけっこうバッチリ作ってあります。そういう意味で言うと、「異様に呪術的なアーチー・シェップ」みたいな感じ。楽器奏者としてうまいかどうかというと、何とも判断がつかないんですが、こういう音楽を表現してぶつけてくるという所が、生き方としてのリアル・ミュージシャンというか、とてつもなく強いものを感じます。音楽の根源にある初期衝動の強烈さみたいなものを感じさせる、素晴らしい音楽でした。 B面は、1曲目が純粋なフリージャズ!という感じで、これはさすがに得意技という感じで素晴らしい!問題は、フリーって、ある程度以上になると全部同じになってきちゃうというか…だから1曲だけにしたんでしょうね。B面2曲目は…なんとモードか?!これが下手くそなんですが、オープンになってからはさすがにカッコいいです。でも、慣れないことはすべきでなかったような気も(^^;)。