心に残った音楽♪

おすすめCDの紹介のほか、本や映画の感想などを (*^ー゜)v

 

Category: CD・レコード > ラテン   Tags: ---

Response: Comment: 0  Trackback: 0  

『YO YO MA / SOUL OF THE TANGO』

YoyoMa_Tango.jpg 邦題は『ヨーヨー・マ・プレイズ・ピアソラ』。クラシックのチェリストであるヨーヨー・マが、タンゴのピアソラの曲を演奏したアルバムです。発表当初はけっこう話題になっていました。が…私は興味が持てず、聴かず仕舞いでした(^^;)。最近、たまたまこのCDを聴く機会に恵まれまして、発売から15年近くが経過してからようやく聴いたという次第。

 まずは、取り上げられているピアソラという作曲家/演奏家についての予備知識を。いま、アルゼンチン・タンゴと言って一番有名な人と言えばピアソラじゃないかと思います。もう、ガルデルだのの名前を一番に挙げる人というのは少ないんじゃなかろうか。ピアソラ全盛期のライブなんて、演奏は凄まじいし曲はカッコいいしで、凄すぎます。でも、ピアソラの音楽が純粋なタンゴかというと、そうじゃないんじゃないかと。アカデミックな西洋音楽にアプローチして、タンゴと西洋アカデミズムの中間にあるところの芸術音楽を作った感じ。なんと言えばいいのかなあ…たとえば、琵琶とか尺八とかの純邦楽ってあるじゃないですか。今、そういう新作って、現代音楽の人なんかに委嘱して作曲されたりもしてますが、それを純邦楽とは呼びにくいというか。そのタンゴ版が、ピアソラなんじゃないかと個人的には思っております。で…
 そうなると、ピアソラの音楽を取り上げる人というのが、タンゲスタばかりではなく、クラシックの人も取り上げるようになってくる。リスナーもばらけてくる。僕が高校~大学生ぐらいの頃、ピアソラは大ブームでしたが、最初に食いついた日本のリスナーはジャズの人だった気がしますしね。要するに、タンゴという以上にコンテンポラリーなんですよ。
 ただ、ピアソラというのは「作曲家」という立ち方はしていなくて、あくまで自分の楽団(五重奏団とかのスモールコンボが多い)を持ち、その楽団の演奏のために自分で作曲して、また自分で演奏しています。で、この演奏の在り方というのは実にタンゴ。熱いです、リズムが強烈です、不協和音を混ぜまくってきます!で、この3つの要素というのが僕にとってのタンゴに必要不可欠な要素というか、音楽自体がそれを前提にデザインされていますしね(そうしないと、2拍強調のリズムばかりに拘った作曲の意味なんてなくなっちゃう)。これを活かしたうえで、どこまでサウンドをコンテンポラリー化できるか、という所が重要だと思うんですよ。

 で、クラシック系の人の演奏するタンゴの話に戻ってきます。クラシックの人って、楽譜に示されたされたメロディなり和音をどこまで完成度高く鳴らすか、なんて所に重視していく傾向がある気がします。しかしそれをやっていくと、さきほど挙げたタンゴの強みというものが全部消えていく。クラシックの人がタンゴを演奏すると、タンゴ的である部分が全部消されてしまうのです。これは、クレーメルの演奏したピアソラなんかもまったく同じ。いや、クレーメルのタンゴは、それはそれで好きなんです、僕は。ただ、それが元々のピアソラが狙っていた方向を向いているかというと、そうではないという感じなのです。で、その方向性の違いが、狙ってそうしていて、かつそれが何らかの意味で妥当な選択であるなら、全然良いと思うんですよ。だけどクラシックの人って…そういう意味の次元までは全然考えてなくって、クラシック畑にあるステレオタイプの基準でただピアソラを書き換えちゃっているだけに聴こえてしまうのです。うまく伝わるかな…ほら、クラシックの人が、ジミヘンやツェッペリンの曲を演奏したりとかする事があるじゃないですか。で、同じように演奏する事には全く意味がないから、それを変えてしまっていいとは思うんだけど、変えてどうなるのか、変えたらどういう意味が発生するのかとかは全然考えてなくって、ただ優雅なだけのパープルヘイズやホール・ロッタ・ラブなんかが生まれちゃったりする。それって…全然面白くないうえに、意味もないという最悪の状況にしか思えないんですよね。こういう事態を知っていたから、発売当初にこのCDを聴きたくなかったんでしょうね。で、ようやく聴いた感想はというと…もう想像通り、偶数拍のリズムをどれだけ強く押し出せるかというのが肝になるシーンですら、ヨーヨーマさんは優雅にチェロを奏でております。ダメだこりゃ、自分の流儀で楽譜を読んでいるだけで、何にも考えてないわ。。ピアソラの熱い名曲たちが、どれもこれもBGMみたいになってます。ピアソラやタンゴを期待してこのCDを手にするのであれば、それは大きな期待外れに終わるでしょう。

 しかし、良い所もあります。良く言えば、楽曲のアレンジが、ポピュラーとコンテンポラリーの中間をうまく行っています。これ、誰のアレンジなんだ、と思ってクレジットを見ると…ブラジルのクラシック・ギタリストのアサド兄弟。なるほど、クレーメルのピアソラ作品集が売れたから、それをソニーが横取りして作ったアルバムという訳ですねw。ヨーヨー・マは、担がれた神輿というだけでした。。音楽の狙っているところ自体はアレですが、アサド兄弟によるアレンジ技術自体はものすごくプロフェッショナル。ピアソラ的とかタンゴ的といったところを追わず、ネオ・クラシック的な少しコンテンポラリーで少しポピュラーな上品系BGMを求めるのであれば、これはなかなかの良作だと思います。

関連記事
スポンサーサイト

Comments

10 2017 « »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

Bach Bach

Author:Bach Bach
神戸住まい、奥さんとネコと暮らす音楽好きです。音大は卒業したのですが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたCDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度ですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば、大変嬉しく思います(ノ^-^)ノ

最近気になってるCDとか本とか映画とか
スゴイのが出る!King Crimsonの1970-1972年の間のスタジオとライブ音源!21CD+4BD+2DVD!リハーサルテイクとか、メッチャ聴いてみたい!2万円か、また貯金しないと。。 今月号のintoxicateに載っていた1枚。「Vyacheslav Artyomov」、ロシアの作曲家は名前が読めなくってムズカシイ。。「ヴャチェスラーフ・アルチョーモフ」と読むらしいです。伝説の「フレンニコフの7人」のひとりとの事ですが、それって何かすら僕は知らず(^^;)。作風的には初期は新古典的、後に民族的な様式、十二音技法や、複調性、ミニマルなんかも用いたみたい。ロシアの前衛は強烈なものが多いので、聴いてみたいです。アマゾンで買おうと思ったらダウンロード版しかなかった(;_;)。 少し前に取りあげたエリザベス・コットンですが、ライブ盤なんてあるのか?!これは聴きたい… オスマン時代から現代までのトルコ音楽のガイド本みたいです。おおお~、これは絶対に読もう!!
検索フォーム
アド
これまでの訪問者数
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Archive

RSS