
知的で先鋭的なジャズ・ピアニストの
ポール・ブレイは、ジミー・ジュフリー・トリオに参加し、カーラ・ブレイとも絡み始めた60年代が真骨頂!というわけで、リーダー・アルバムとしては1963年発表のこのアルバムからが全盛期だと僕は思ってます。このアルバムもメッチャクチャかっこよくて、しかもすごいです!ピアノトリオ編成で、ベースはこのあと長年の盟友になるスティーヴ・スワロウ、ドラムはピート・ラ・ロッカ。作曲はカーラ・ブレイの曲がメインで、他にオーネット・コールマンとポール・ブレイの曲が入ってました。
作曲では
カーラ・ブレイとオーネット・コールマンの曲が、単に音符の並びじゃなくてシステム自体にまで介入した見事な作曲で見事!そして
ポール・ブレイをはじめとしたバンドの演奏も、アドリブを含めて実に見事でした!
カーラ・ブレイの作曲の素晴らしさの一例でいえば、「Floater」なんて同じ音型を繰り返しながら長調と短調を入れ替えたりしてテーマではモードに突入…いやあ、こんなのカッコよすぎです、調感はありつつ常に刺激的で、みたいな。
それが終わたら思いっきりモーダルなアドリブ、ここでのバンドのアドリブがまたすごかったです。指を転がすだけじゃなくてガシガシ強く押しまくる感じ、いかにもジャズって感じで、これはクラシックではまず聴けない熱さの演奏でした。しかし、
ポール・ブレイやスティーヴ・スワロウの演奏を聴いていると、演奏だけでなく楽理面でもジャズだけやってたらとうてい無理だっただろうと思わされるところ満載で、そこがまさに20世紀音楽を実現できるミュージシャンだったんだな、と改めて思わされます。ジャズの世界でこういう人って、決して多くないんですよね。
モードやフォースビルドを含む60年代当時の最先端のジャズ、20世紀前半あたりのクラシックまで射程に入っていて、しかもアドリブも重視ししているという、聴きようによってはフリージャズだけど全然フリージャズじゃないカッコよすぎるジャズ。若いころに僕はこのアルバムに熱狂したんですが、勢いあまってコンプリート盤というのを発見した時に「うおおおおお!!!」と声をあげて興奮し、買い直してしまいました(^^;)。これは別テイクを寄せ集めたものじゃなくって(テイク違いは2曲)、別曲が5曲入ってるんですよ!うち3曲はサラッと演奏したバラードでしたが、追加で入っていたオーネットの曲などがまた見事で、なんでオリジナル盤でこの演奏をカットしたのか分からないほど。それでもこういう時代の最先端を行く音楽を保守的なレーベルのサヴォイが録音していた事に驚きです。ポール・ブレイは60年代に限りますね。
ポール・ブレイのリーダー・アルバムを聴くなら僕的にはイチ押しのアルバム、大推薦です!!
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