
1974年公開のフランス映画です。エッチな映画で、フランスでも日本でもピンク映画の社会現象を起こしたそうですが、監督がファッション・フォトグラファーで主演がフランスの一流ファッション誌のモデルという事もあったのか、若い頃に観た時は、なんとなく格調高く見えもしました。
フランスの外交官の奥さんが、旦那の赴任先の
タイでレズやったり、飛行機のトイレで情事に耽ったりと性に溺れていく映画…と思って子供の頃は観てました。原作がある物語だし、もう少し深いテーマがあったのかも知れませんが、中学生だった僕にはそれは分からず。でも作りがピンク映画だったのはたしかで、
ブルース・リーの映画が15分おきに確実に格闘シーンが入るように、この映画も定期的にエロシーンが挟まれていました。でも意外とエロいとは感じず(成人指定映画ではなかったので、あまり過激な描写は出来なかったのかも)、初めて見た当時(僕が初めて見たのは80年代初頭)ですら、雑誌のグラビアの方がよっぽど燃えるな、ぐらいな感覚。
エロより強く目についたのは、当時のヨーロッパ人の持っていた「俺たちは特別」とでも言うような嫌なモラルでした。フランス人外交官というヨーロッパの特権階級が、東南アジアの女性を奴隷のように使って性的なマッサージをさせる。タイの貧民街を気遣いもなくオープンカーに乗って平然と通り過ぎる。大航海時代からの植民地政策や帝国主義で世界大戦を引き起こしたヨーロッパ人の特権意識をまざまざと見せられた気がしたんですよね。

貧民街を外人がオープンカーで突っ込んでいくなんて事をしたらボコボコにされても文句は言えなさそうなのに、ビビりもせずに突っ込んでいくところに、アジア人に対するヨーロッパ人の自信というか傲慢さというか、そういうものを感じました。良いかどうかは別として、相手を見下せる、威圧できるというのはたしかに武器となる能力ではあって、相手を屈服させることが正義である状況では、これもひとつの美徳だったと思うんですよね。ヤクザでもビジネスマンでも、この能力は今でも価値として認められているのではないでしょうか。
こういった鼻につく白人の特権階級意識を感じさせるシーンが度々出てくるんですが、なんとなく制作者ですらそれに気づいていない気がしたんですよね。第2次世界大戦が終わった後になっても戦勝国となった国の白人からはこの意識がどうしても抜けない、みたいな。リベラリストな僕はこれが気になって仕方なかったです。
この映画、
ピエール・バシュレの音楽(特に主題歌)が最高とか、70年代のタイの風景とか、映像美とか、いま見ても色々と見どころのある映画と思います。僕が不快に思った部分だって今から見れば貴重な資料。ただ、エロい物が見たいだけだった中学生の僕には、色々と不満の残る映画だったな、みたいな(^^;)。。
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学校でもすごく噂になったけど、さすがに観に行けない。
となれば、テレビ。でも金曜ロードショー的な時間に観れる訳もない。
だから、夜中の再放送的な。
親に隠れて、、、