良いと思ったのは、設定。薄暗い森の中にある意味でそれ自体が美術作品のような小屋が浮かんでいて、そこに抽象絵画の中から飛び出してきたような主人公が三輪車に乗って…もう、アイデアや象徴の使い方は天才じゃないかというほどでした。 もうひとつ素晴らしかったのは音楽。ブラザーズ・クエイ作品の音楽って、近現代的なクラシック室内楽を使った素晴らしいものが多いんですが、作曲家がぜんぜんわからない。。この映画はDick Walter という人が作曲してますが、こういう音楽を聴いたらロックやポップスみたいな音楽が子供だましにしか思えなくなってくるから危険です(^^;)。このディック・ウォルターという人は映画やテレビの音楽を作っている職業作曲家らしいですが、残念ながらギルガメッシュの劇音楽の録音を僕はいまだに見つけられてないです。こういう本当に優れた音楽家って、大衆迎合な産業音楽に行ったら才能を使えないし、芸術音楽方面は権威に牛耳られてはみ出し者になるし、結局音楽をやめるか、細々と作品を発表し続けるか、自分の音楽を妥協しないで発表できるアート作品に音楽を提供するぐらいしかない気がします。この人の劇伴ではない純音楽作品があったら聴いてみたいなあ。