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『Billie Holiday / The Complete Original American Decca Recordings』

Billie Holiday Complete Original American Decca Recordings 生前に発表されたアルバムから見たビリー・ホリデイは、1947年発表の『Billie Holiday』(日本だと『奇妙な果実』に1集と2集をまとめて収録)から死ぬ59年までの間に、色んなレーベルに録音を残しました。あっち行ったり戻ったりを繰り返してるので、専属契約はしてなくてすべてショット契約だったんじゃないかと。発表枚数から見て特にビリー・ホリデイに力を入れたレーベルは、コモドア、ノーマン・グランツのレーベル(Clef やVerve)、デッカの3つがあります。コモドアは『奇妙な果実』、クレフ(ヴァーヴ)は『ビリー・ホリデイの魂』という決定作があったのに、デッカには僕が若い頃に観た名盤ガイドに載っているアルバムがなかったもんで、僕はデッカ録音のビリー・ホリデイを聴いていませんでした。そして、今ごろようやくデッカ録音を聴いたのですが、それがこれ、ビリー・ホリデイのデッカ録音全集でした。CD2枚組です。

 僕が聴いてきたビリー・ホリデイの録音で歌のコンディションが一番いいのはこれだ…とすぐに思いました。ビリー・ホリデイって、叫ぶこともなければ派手な技巧で魅せる事もなくて、どちらかというと控え目に淡々と丁寧に歌うタイプじゃないですか。でも表現がないわけじゃなくて、少しだけ喋るように歌ったり、ポルタメントを多用したフェイクをしたり、細かいヴィブラートをかけたり、これらひとつひとつを丁寧に積み上げていきますが、その精度がこのデッカ録音がいちばん良かったです。

 歌だけでなく、音楽のコンセプトが良かったです。伴奏はビッグ・バンド、ウィズ・ストリングス、スモール・コンボなど多様でしたが、みんなスタジオ録音で良い演奏、そしてどれも「気軽に聴けてほっとする音楽」を目指しているように感じました。コモドア録音は悲壮感あふれる曲やブルースが耳に残って、コロンビアの『Lady in Satin』はストリングス・アレンジが聴きもの。でもデッカ録音はどの編成でもリラックスしてラジオから流れてくる音楽、みたいな。そしてビリー・ホリデイの控え目な表現とあったかい声には、こういうほっとする音楽が合ってると感じました。
 たとえば、「ラヴァー・マン」。この曲がビリー・ホリデイに送られた詩で、それを気に入った彼女が作曲家に曲を頼んだ事を、このCDのライナーではじめて知りましたが、劇的なしびれる曲に仕上げる事だってできるラヴァーマンですらサラッとした演奏と歌唱。ああ、ビリー・ホリデイって、日本だと悲劇の人みたいなイメージが先行しちゃったけど、本当はもっとあったかく歌っていた歌手だったんじゃなかと思いました。

 これを最初に聴いていたら、僕hsもっと若い頃から彼女の音楽を楽しめていたかも。このCDではバーンスタイン作曲の「Big Stuff」が、アレンジも演奏も歌も最高。他の曲もおおむね同じ傾向で、大昔のアンティークな喫茶店で古いツイードのラジオから流れてくるような音楽で気持ちよかったです。もしかしてビリー・ホリデイのキャリア・ハイって、デッカ時代じゃないかと思ったほどに良いCDでした(^^)。

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Author:Bach Bach
狭いながらも居心地のいい宿で、奥さんとペット数匹と仲良く暮らしている音楽好きです。若いころに音楽を学びましたが、成績はトホホ状態でした(*゚ー゚)

ずっとつきあってきたレコード/CDやビデオの備忘録をつけようと思い、ブログをはじめてみました。趣味で書いている程度のものですが、いい音楽、いい映画、いい本などを探している方の参考にでもなれば嬉しく思います(ノ^-^)ノ

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