『Magic Sam / The Cobra And Chief Recordings 1957-1961』

　バディ・ガイらとともにシカゴ・ブルースをもうちょっとロックに近づけたギタリスト／ヴォーカリストのマジック・サムの初期録音集です！マジック・サムって32歳で死んじゃったもんで、残された音源が少ないんですよね。有名なのは60年代後半にデルマークからリリースされた2枚のアルバムですが（生前に発表されたアルバムはこれだけ）、実は50年代後半からコブラやチーフというレーベルで録音をしていて、シングルも発売されていたそうな。これはコブラとチーフに残された音源集です。

　基本は4ピースのバンド、たまにブラス・セクションやコーラスが入ったり、インスト曲があったり。似ている人といえばたしかにエレキ・ギターを持った時のバディ・ガイかも。なるほどこれは限りなくロックに近いバンド・ブルースと感じました。ドラムの偶数拍のビートが「バシーン！」みたいに強いし、ギターもトレモロかけまくったりしていて、ブルースやR&B的な事をやってもどこかロックでカッコいい！これをもっとうまく、もっと過激にしたら、ジミヘンになるんだろうな、みたいな(^^)。

　マジック・サムといえば、デルマーク盤『West Side Soul』の、どこかサザンソウル的な爽やかさを感じる音楽と思っていたんですが、これはなかなか攻撃的。ただ、バディ・ガイやオーティス・ラッシュに比べて声がかわいいので、音楽のわりにドスが効かない感じでした。この音楽をハウリン・ウルフばりのヴォーカルで聴いてみたいです(^^)。